写真:植田和男日本銀行総裁G20財務相・中央銀行総裁会議の会場で報道陣の対応をする日本銀行の植田和男総裁 Photo:AFP=JIJI

就任100日を経過した日本銀行の植田和男総裁はこれまで、「現在の金融政策の弊害があることも知っているが、バランスを考えてこう判断した」という論法でコミュニケーションを取ってきた。そんな「何でも知っているけれども、何もしない」と現在世間に思われている植田総裁だが、「就任100日の成果」は100点満点中の何点か?(経済評論家 山崎 元)

日銀・植田総裁が就任100日経過
「ハネムーン期間」は日本に不要

 植田和男氏が日本銀行の総裁に就任して約100日が経過した。一説によると、総裁交代後「100日」程度はメディアが新総裁への批判を控える「ハネムーン」の期間とすることが慣例であるらしい。100日が経過したことで、今後、植田総裁に対する批判や不満が噴出するのではないかとの観測も一部にはある。

 新しいトップとジャーナリストの「ハネムーン」期間が最も強調されるのは、米国の大統領と記者との関係ではないだろうか。ハネムーンは、おそらく輸入された慣例だ。わが国でも首相が替わるとしばしば話題になる。日銀総裁が首相並みに重要であり、時には首相以上に重要なポストであることに異存はないのだが、日本の記者と日銀総裁の間にハネムーン期間は不要ではないか。

 メディアは大半が公的な発表を報じている。また、記者クラブに属しているサラリーマン記者が独自の取材に基づいて決定的な批判を記事にするようなことは、継続的に無難な情報を取り続けて「特オチ」を避けたいことが第一利害の彼らにあって、ほぼあり得ない。現実に思い出せもしない。

 批判的な内容は、外部の専門家の口を借りて「懸念もある」と述べるのが、事実よりも意見を専ら記事とするわが国の「オピニオン紙」の常だ。