ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
労働市場最前線Ⅱ

不確実性を許せるイギリス、許せない日本とドイツ
グローバル社員の2大必修科目は「文化」と「制度」

吉川克彦
【第10回】 2013年2月28日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

日本人がイライラする鉄道と
安心する鉄道

 「次の駅は、プラットフォームが混雑していて危険なので、停車しません。次の駅は飛ばして、チャリング・クロス駅に停車します」

 これは、私が2010年にロンドンに留学していた際に、地下鉄の車内で耳にし、驚愕したアナウンスである。

 ちなみに、ロンドンの地下鉄は、原則的に各駅停車である。にもかかわらず、ラッシュアワー時には混雑を理由に、突如駅を飛ばすことが日常的に行われている。そして、列車に乗る段階では、それを予想しようがないのだ……。

 次に、別の国で聞いた、長距離列車の中でのアナウンスをご紹介しよう。

 「大雪のため、列車が遅れて大変申し訳ありません。○○駅には×分遅れで△時△分に到着予定、○○駅には×分遅れで、△時△分に到着予定です。変更があった場合には、またアナウンスいたします」

 お断りしておくが、これは日本での出来事ではない。

 この国は、ドイツである。当時のヨーロッパは大雪で、空、陸の交通は大混乱しており、あらゆる交通機関がいつ復旧できるかさえ、発表できない状況であった。しかし、ドイツのケルンからブレーメンに向かう長距離列車では、整然と先の見通しをアップデートしつつ乗客に知らせ、列車が運行されていたのである。

 この違いはいったい何なのだろうか。明らかに日本人にとっては、ドイツの鉄道のほうが性に合う。これくらいの確実性を、鉄道に期待したくなるし、それに慣れている。そしてイギリスの鉄道のあり方は、正直、性に会わない。慣れるまでは、私もかなりイライラしたものだ。

 しかし一方で、ロンドンの人たちが自分たちの鉄道のありように不満を感じているかというと、どうもそうではない。地下鉄で駅を飛ばされても「アポイントに遅れるじゃないか!」とイライラしたり、慌ててメールを打ったりする人は、見当たらないのである。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

吉川克彦 (よしかわ かつひこ)
[株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
組織行動研究所 主任研究員 兼
シニアコンサルタント]

1998年リクルート入社。英London School of Economicsにて修士(マネジメント)取得。コンサルタントとして、経営理念浸透、ダイバーシティ推進、戦略的HRM等の領域で、国内大手企業の課題解決を支援。2012年より現職。現在は、日本企業のグローバル化および、組織開発を研究領域として担当。主著に「実践 ダイバーシティ・マネジメント」(英治出版)がある。


労働市場最前線Ⅱ

2011年1月からスタートし2012年7月まで続いた『ワークス研究所の労働市場「最前線」』の第2弾。新卒就職、非正規社員、シニア世代の再就業、労働法制……、日本労働市場には多くの課題があり、それは業種や規模の大小を問わず、すべての企業に関係する事だ。本連載ではリクルートワークス研究所の研究員のみならず、リクルートグループ内で「労働」に深く関わる識者からの、最新の労働市場分析や提言をお届けする。

「労働市場最前線Ⅱ」

⇒バックナンバー一覧