このところグローバル人材の必要性が声高に叫ばれるようになった。日本経済を再興するために、グローバル人材を育てることは、企業のみならず、大学にとっても重要な課題である。

 今月中旬、シリコンバレーに拠点を持つ日本の大学十数校の学長・副学長・理事の方々が出席されて、大学の国際化について討議をする会合が開かれた。この会合はJapanese University Network in Bay Area(略してJUNBA)と呼ばれる会合で、今年で第7回目を迎える。文部科学省高等教育局長と日本学術振興会理事長がゲストとして参加された。

 まず、米国側のゲストスピーカーとしてスタンフォード大学のBerman教授から「Globalizing the UniversityムStanford Experience」と題する講演があった。

 同大学の国際化は1958年、学生を欧州の片田舎に派遣して、異文化の中で生き延びることを体験させるところから始まった。その後、この活動を欧州以外に拡大し、現在では豪州、北京、ベルリン、ケープタウン、フローレンス、京都、マドリッド、モスクワ、オックスフォード、パリ、サンティアゴに派遣している。在学生の60%が在学中に一度はこうした活動に参加しているという。

 外国語の習得も必修科目で、英語以外にもうひとつの言語を習得しなければならない。米国民の外国語能力は低く、国民の80%は生涯ひとつの言語しか話せないが、同大学では母語以外の言葉によるコミュニケーション能力の向上に力を入れている。米国の中で同大学は最も外国語の習得に力を注いでいる大学のひとつであるが、欧州の大学では二種類の外国語の習得を目標にしているから、それよりは緩やかである。

 同大学の大学院には多くの外国人留学生が在籍する。特に理工学部でその比率が高い。留学生派遣国は中国、韓国、台湾が多い。彼らが孤立しないように様々なプログラムを設けて活動している。たとえば、彼らがラボに閉じこもっているのを見て、大学がお金を払ってスタンフォードの文科系の学生をチューターとしてつけることを試みた。これでスタンフォードの学生は外国人のことを学び、サイエンスに触れ、留学生はアメリカのカルチャーを学ぶことができた。