中国マネーが「日本の盆栽」へ!アリババ創業者も1000万円お買い上げ、腕利き職人は給料倍増内閣総理大臣賞、国風賞、文化庁長官賞などを受賞する盆栽作家・小林國雄氏(著者撮影)

日本の伝統文化が、後継者不足や資金不足で衰退の危機に瀕していると言われて久しい。そんな中、盆栽や日本庭園など日本の伝統文化に中国人が熱いまなざしを注いでいる。日本の伝統文化を貪欲に吸収しようとする中国人と日本の伝統文化の行き着く先を考えた。(ジャーナリスト 姫田小夏)

朝顔を売る台湾出身の若者

 東京の夏を告げる伝統行事に「入谷朝顔まつり」がある。入谷の朝顔といえば、江戸時代末期から有名で、今年7月は26店舗が出店した。平成半ばの最盛期には65店舗あったが、コロナ禍に加え、担い手の高齢化もあり、朝顔栽培をやめてしまった園芸農家もあるという。

 早朝5時から夜半の午後11時まで3日間朝顔まつりは続いた。そこで、おそろいの半纏(はんてん)を着た業者さんたちに混じって、行き交うお客さんに声をかけていた台湾出身の若者を見つけた。聞けば、「盆栽を学ぶために来日し、朝顔販売は“修業”の一環」だと言う。

 この若者が弟子入りしているのは、東京・江戸川区で「春花園BONSAI美術館」を経営する小林國雄氏(75歳)だ。小林氏は、朝顔まつりについて「寝ずに出店して延べ20人を投入しても、利益は100万円も残らないという厳しい商売ですが、伝統をなくしたくないという思いでやっています。弟子たちの修業のためにもなりますから」と打ち明けた。

 76年も続く伝統行事でさえも「維持存続をどうするか」という難しい局面に立たされているのだ。