写真:体臭,ニオイ写真はイメージです Photo:PIXTA

新型コロナウイルス感染症が、5類感染症に移行してから初めての夏。久々にマスクを外して生活をしていると、コロナ禍はわからなかった他人のニオイが鼻をつくようになった……なんていう人もいるだろう。それだけでなく、自分の汗が他人に不快な思いをさせているかも、と悩みを抱えるケースもある。気になる汗問題を解決する方法について、専門医に話を聞いた。(清談社 真島加代)

脱マスクで急増する
ニオイが気になる人

 長かったマスク生活を卒業し、人に会う機会が増えている今夏、相手の表情がわかり、コミュニケーションの取りやすさを実感するようになった。その半面、“あること”に悩む人が増えているという。

「じつは、マスク生活中には気がつかなかった“ニオイ”を、マスクを外してから感じるようになった、という人は少なくありません。人と人との距離も近くなっているので、コロナ禍よりも他人のニオイを感じやすい環境になっているためです。一度他人のニオイが気になりだすと『自分も同じようににおっているかも』という不安に駆られるケースも多いですね」

 そう話すのは、渋谷スクランブル皮膚科で院長を務める下方征氏。制汗剤ブランド「デオナチュレ」を販売しているシービックが実施したニオイに関するアンケート(*)でも、コロナ禍に行った同じ調査の結果と比べて「自分のニオイが気になるようになった」と回答した人は15%増、「他人のニオイが気になるようになった」と答えた人は25%も増えたという結果に。
(*)…「ニオイ意識調査」/調査対象:20~50代の男女287人

 また、ニオイを気にする人が増えているだけでなく、コロナ禍を経て、実際に汗のニオイが強くなっている人もいる、と下方氏。

「汗は本来無臭です。しかし、コロナ禍以降、運動不足になっていたり、在宅ワークで汗をかきにくい生活を送っている人は、体が“汗のかき方”を忘れている可能性があります。汗をかかない状態が続くと、発汗に関わる汗腺という器官の機能が衰えてしまうんです。そこから出る汗には、ミネラルやアンモニアなどの『ニオイ成分』が多く含まれており、その汗が皮膚の表面や毛穴の中にいる雑菌と混じり合うと、さらに強いニオイが発生します」

 とくにニオイの発生源になりやすいのが、耳裏、首のうしろと背中上部。ここは、皮脂を分泌する“皮脂腺”が多く、汗と皮脂が混ざりやすい要注意スポットとのこと。

「また、年齢を重ねると汗腺の中に脂肪酸(パルミトレイン酸)を含んだ皮脂が発生します。それが酸化すると『ノネナール』という成分に変わるのですが、このノネナールこそが“加齢臭”と呼ばれるニオイです。汗腺の機能が低下しているところに、加齢臭も発生している人は、強い体臭を発している可能性があります」

 中高年男性には耳の痛い話だが、マスク生活で体臭のケアを怠っていた人は、特に意識を向ける必要があるかもしれない。