子どもの医療費助成制度を
国が後押しする方針を発表

 現在、健康保険法で定められている子どもの医療費の自己負担割合は、未就学児(7歳になる年の3月まで)は2割、小学校1年生以上は3割となっている。ただし、子どもの医療費に関しては、全国すべての市区町村が助成制度を設けている。

 子どもの医療費助成制度は、本来は親などの養育者が支払うべき子どもの医療費の自己負担分を、公費で肩代わりしてくれるというものだ。「乳幼児医療費助成制度(マル乳)」「子ども医療費助成制度(マル子)」「医療福祉費助成制度(マル福)」など、名称は自治体によって異なるが、いずれも子どもが一定の年齢になるまでの間、無料、または少ない負担で医療を受けられる制度だ。

 子どもの医療費助成は、公的な医療保険(健康保険)のように全国一律の給付ではなく、自治体が独自に行う地方単独事業だ。各市区町村の財政事情によって対象年齢や、親の所得制限などの給付要件には違いがあるが、近年は給付内容を充実させる自治体が増えている。

 厚生労働省の「乳幼児等医療費に対する援助の実施状況」によると、18歳の年度末まで助成する市区町村は、2011年時点では通院が39自治体、入院が41自治体で、全体の2%ほどしかなかった。いちばん多いのは15歳の年度末までだが、次いで多いのは就学前までとしている市区町村だ。通院は622自治体、入院は345自治体が、就学前までしか助成していなかった。

 ところが、10年後の2021年には、18歳の年度末まで助成する市区町村が、通院は817自治体、入院は892自治体まで増加。半数程度の市区町村が、18歳の年度末まで助成を行っているのだ。助成期間が就学前までしかない市区町村は、通院が40自治体、入院は3自治体のみだ。その数は反転してきている。

 子どもの医療費助成の対象年齢は全国的に引き上げられてきており、その傾向はさらに拡大していきそうだ。というのも、2023年6月13日に閣議決定された「こども未来戦略方針」に、子どもの医療費助成制度を国が後押ししていくことが打ち出されたからだ。