日銀が政策修正しても円高にならなかった5つの要因日経平均株価の終値(右)、為替相場(中)、東京債券市場の長期金利(左)を示すモニター=8月3日 Photo:JIJI

日銀はYCC政策を柔軟化
違和感がある会合後の円相場

 7月28日の日本銀行・金融政策決定会合では、2024-25年度のインフレ見通しが上方修正されなかったにもかかわらず、イールドカーブコントロール(YCC)政策が修正され、日本の10年金利の事実上の許容上限水準が0.5%から1.0%へ引き上げられた。

 じつは筆者は、今年10月の決定会合にて日銀がインフレ見通しを上方修正するとともに、YCC政策の修正に踏み切ると想定していた。また、こうした政策修正にもかかわらず、決定会合後に円高は進行しなかった。

 昨年12月に日銀がサプライズ的に金融政策を修正した(10年金利の許容変動幅を±0.25%から±0.50%に拡大させた)際には、ドル円は137円台から130円台へ急落した経験と比べても、今回の円相場の動きには違和感がある。