50代で資産形成を始めるのは
決して遅くない

 もちろん、ここで出ている数字はいずれも平均値にすぎないから、実際にはその人の生活ぶりや働き方で一様に決めつけることはできない。それにリタイアした後は旅行に行ったり、趣味を楽しんだりするための費用もあった方が良い。それらを全て年金だけでまかなうのはちょっと難しいだろう。

 したがって、それなりに自分で資産形成をしておくことも必要ではある。

 とはいえ、若い頃に比べると投資できる期間自体が少ないことは事実だから、あまりリスクの高すぎる資産運用はしない方が良いだろう。

 しかしながら高齢化が進む現代においては、その対応策として就労機会の拡大だけではなく、資産形成においても比較的年齢が高い人でも活用できる制度が整備されつつある。来年から拡大されるNISAはその代表だ。以前にもNISAは50代から始めても決して遅くないという話をしたことがあるが、筆者も自分で資産形成のための投資を始めたのは60歳で退職した後だ。50代以降は「働くこと」と地味に「投資を続けること」、この2つを両輪として考えて行くべきだろう。

※1 国民生活基礎調査2022年版(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/index.html
※2 令和3年版高齢社会白書(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/zenbun/pdf/1s2s_01.pdf