三菱UFJとみずほの「稼ぐ力」復活で、銀行は成長セクターに!長期金利上昇で業績“上振れ”も期待大Photo:Bloomberg/gettyimages

3メガバンクは足元で大きな増益となるなど好転の兆しを見せている。連載『最新決算 プロの目』の本稿では、長らく業績向上の糸口がつかめずにいた3メガの直近の業績のポイントと今後の展望について、ゴールドマン・サックス証券の黒田真琴アナリストに分析してもらった。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

銀行はもはや「成長セクター」
金利上昇だけではない追い風

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)ら3メガの2024年3月期第1四半期決算(1Q)は、いずれも通期目標に対して高い進捗を示し、非常に良好な決算だった。一口に言えば、銀行セクターは市場が考えているよりも順調だと筆者は考える。

 特に好調さが際立ったのがMUFGとみずほFGだ。

 MUFGは、通期で1兆3000億円の純利益目標に対して、1Qで5583億円と43%の進捗を見せた。モルガンスタンレーの持分法適用決算期の変更など一過性の要因を除いた業務純益(一般企業の営業利益に相当)ベースでも5566億円となり、業務純益の計画に対して38%の進捗だ。

 また、みずほFGの純利益は前期比54%増の2451億円で、通期目標の6100億円に対して40%という高い進捗率となった。5月に発表した新中期経営計画において掲げた低採算から好採算アセットへのミックスシフトが顕在化しており、早くも収益性の改善が見て取れる内容となった。

 ここで強調しておきたいのが、これらが「もともと高い純利益目標に対しての高進捗」だという点だ。

 各社の通期目標を前期実績と比較すると、MUFGは前期実績の純利益が1兆1164億円であり、今期は16%以上伸びる計画だ。みずほも同じく前期が5555億円だったので、そこから約10%も成長する計画を掲げていることになる。

 銀行は伝統的にBSビジネスなので、利益のボラティリティーがさほど高くない側面があるが、今回の通期目標では約10%以上の成長計画を公表している企業がメガ3行のうち2行もあり、しかも1Q決算はその目標を裏付ける内容となった。

 もはや今の3メガを中心とする銀行は“安定収益のセクター”ではなく、“成長セクター”であると言っても過言ではないだろう。

 しかも、現在ホットトピックの日銀の金利政策修正による長期金利の上昇は銀行セクターにとっては追い風だが、通期目標にはこの影響が織り込まれていない。中期的にさらなる業績の上昇も期待できる状況だ。

 なぜ各社の業績がこれだけ上昇したのか。その背景には、ひとえに根本的な「稼ぐ力の向上」がある。

次ページでは、黒田氏がMUFG、みずほFGらの好決算の背景にある「稼ぐ力の向上」について解説する。実は、稼ぐ力が高まった背景には、過去の苦い経験への反省があるという。両行はどんな取り組みを進めてきたのか。さらに、今後上昇期待がある長期金利の動向がもたらす銀行セクターの業績への影響と「上振れ余地」について、黒田氏が具体的な推計値を基に解説する。