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三輪泰史の日本農業「ハイテク再生」

ポイントは3つの「多様化」の推進
ビジネスとしての農業成功の秘訣

三輪泰史 [日本総合研究所創発戦略センター主任研究員]
【第7回】 2013年3月6日
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TPPの議論では相変わらず農業は「弱い産業」というレッテルを貼られているが、全国を見回すと農業のビジネス化に成功した先駆者たちが数多く出現。成功のポイントは農業生産者の多様化、栽培手法の多様化、マーケットの多様化だ。今後はこの3つの多様化を後押しする政策の実行で、農業ビジネスのポテンシャルを存分に発揮できる場を作ることが重要である。

3つの多様化が農業をビジネスに

 本連載では日本農業再生のための5つの処方箋を説明してきた。日本農業は新たな時代に入りつつある。もちろん良い方向に、である。TPPの議論では相変わらず農業は「弱い産業」というステレオタイプに押し込められているが、日本全国を見回すと農業のビジネス化に成功した先駆者たちが数多く出現している。

 これからは先駆者たちが見いだした「儲かる農業」を、日本全体に広げていく段階だ。誤解の無いように追記するが、筆者が言う「儲かる農業」とは決して利益至上主義ではない。やはり農業生産者はまず職人的で、次に商人的な職業であるべきと考える。

 重要なのは、良いものを作り、ビジネスモデルを工夫すれば、きちんとした収益が得られるということだ。職人的な側面の強い農業においても、収益は不可欠だ。どんなに美味しい料理を作るシェフもパン屋も、収益なしでは事業は続けられないのと同じである。

連載第2回の農業法人化で触れた通り、農業がビジネスとして魅力的な産業になれば、やる気のある人材も資金も集まる。当然、農業生産者も誇りを持つことができる。古くから社会・経済のベースの一つである農業が元気になれば、単なるGDPの増加以上に日本全体を活性化する。

 最終回では、今までの議論のまとめの意味も含め、農業をビジネスととらえたうえで、成功のポイントである3つの「多様化」を検証していきたい。

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三輪泰史 [日本総合研究所創発戦略センター主任研究員]

(みわ・やすふみ)東京大学農学部国際開発農学専修卒業、東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻修了。現在、株式会社日本総合研究所創発戦略センター主任研究員、グローバル農業チームリーダー。農産物のブランド化に関するベンチャー企業の立上げに参画。主な著書に『グローバル農業ビジネス』、『次世代農業ビジネス』(以上、日刊工業新聞社)、『甦る農業―セミプレミアム農産物と流通改革が農業を救う』(学陽書房)ほか。


三輪泰史の日本農業「ハイテク再生」

日本の農産物は、世界最高水準の美味しさ・安全性を誇る。一方で、日本農業は低迷が続く斜陽産業とも言われる。つまり、日本農業は大きなポテンシャルがありながらも、それを十分に活かせていない状況に置かれていると言えよう。日本農業の復活のためには、自立した「儲かる農業モデル」の構築が求められる。成功のポイントは、アジア等の成長マーケットを視野に入れたグローバルなビジネスモデルと、それを実現するための先進的な農業技術・ノウハウの2つだ。本連載では、農業ビジネスに携わるシンクタンク研究員である筆者が、世界で経験した具体例を交え、いかにして「儲かる農業モデル」を作り上げていくかを解説する。

「三輪泰史の日本農業「ハイテク再生」」

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