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三輪泰史の日本農業「ハイテク再生」

処方箋(1)農業法人化こそ農業を
「儲かるビジネス」に変身させる

三輪泰史 [日本総合研究所創発戦略センター主任研究員]
【第2回】 2012年12月26日
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農業を魅力ある産業とする際に期待されるのが農業法人化だ。農業経営には栽培、販売、管理、経理等、多岐に亘る仕事があり、従来の家族経営の農家では、一人で何役もこなす必要があった。農業法人という受け皿が整えば、様々な経歴を持つプロフェッショナルが集まって農業に参画する仕組みが整い、日本の農業が「儲かるビジネス」へと変わっていく。

多分野のプロが集まり
農業のビジネス化を促す

 近年、法人として農業を営む農業法人(注1)は増加を続け、日本農業の重要な担い手となり始めている。農林水産省データによると、2011年度末の農業法人は1万4000近くに上っている。今回は農業の法人化がどのような効用を発揮しているかについて検証していきたい。

 農業法人化は「儲かる農業モデル」の確立に、一番適したスタイルだと筆者は考える。

 中でも一番重要なのが、多様な人材が参画することによる相乗効果だ。従来の家族経営の農家では、一人で栽培、販売、管理、経理等、何役もこなす必要があった。いかに優秀な農業者でも、すべての分野でプロフェッショナルな成果を挙げることは不可能だ。そのため、いくつかの機能を農協にアウトソーシングすることとなった。結果として、自前の販売ルート開拓や新商品開発といった創意工夫が削がれるという一面が生まれたのではないか。

 いま、能力の高い若手、中堅層が数多く農業分野に飛び込んでいる。その主たる受け皿が農業法人だ。栽培を担当する者だけでなく、大学や前職での専門性を生かし、営業・企画・管理・技術開発等の専門家として成果をあげている。技術開発を重んじる大手農業法人では、大学院の修士、博士号を持つものもいるほどだ。

(注1)農業法人は法的に定められた名称ではなく、組織形態として農事組合法人と会社法人の2種に分かれている。注目度の高い異業種からの農業参入(2010年以降で1000法人強)は後者に当たる。会社法人にも、有限会社、合名会社、株式会社等があり、ひとえに農業法人といっても多様な形態があることは意外と知られていない。

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三輪泰史 [日本総合研究所創発戦略センター主任研究員]

(みわ・やすふみ)東京大学農学部国際開発農学専修卒業、東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻修了。現在、株式会社日本総合研究所創発戦略センター主任研究員、グローバル農業チームリーダー。農産物のブランド化に関するベンチャー企業の立上げに参画。主な著書に『グローバル農業ビジネス』、『次世代農業ビジネス』(以上、日刊工業新聞社)、『甦る農業―セミプレミアム農産物と流通改革が農業を救う』(学陽書房)ほか。


三輪泰史の日本農業「ハイテク再生」

日本の農産物は、世界最高水準の美味しさ・安全性を誇る。一方で、日本農業は低迷が続く斜陽産業とも言われる。つまり、日本農業は大きなポテンシャルがありながらも、それを十分に活かせていない状況に置かれていると言えよう。日本農業の復活のためには、自立した「儲かる農業モデル」の構築が求められる。成功のポイントは、アジア等の成長マーケットを視野に入れたグローバルなビジネスモデルと、それを実現するための先進的な農業技術・ノウハウの2つだ。本連載では、農業ビジネスに携わるシンクタンク研究員である筆者が、世界で経験した具体例を交え、いかにして「儲かる農業モデル」を作り上げていくかを解説する。

「三輪泰史の日本農業「ハイテク再生」」

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