11月3日に公開される「ゴジラ-1.0」の大きな立像に迎えられる(松本市美術館の「山崎貴」展会場入り口)11月3日に公開される「ゴジラ-1.0」の大きな立像に迎えられる(松本市美術館の「山崎貴」展会場入り口) Photo by Kenichi Tsuboi

気温が体温前後まで上がり、アタマが溶けてぼうっとする日が続く9月初旬、長野県松本市へ行った。ちょうど東宝の映画「ゴジラ-1.0」の完成披露会見が開催される時期だったが、所用のため出席はあきらめて出かけたのである。松本市は、「セイジ・オザワ松本フェスティバル」が終幕を迎え、少しさびしそうな風情だった。ところが、駅の出入り口への階段を見てびっくり。新作ゴジラ映画の監督「山崎貴」展のポスターが階段にペイントされていたのだ。所用は翌日に回し、急きょ会場へ向かうことにした(文中敬称略)。(コラムニスト 坪井賢一)

「ALWAYS 三丁目の夕日」が出世作
「映画監督 山崎貴の世界」展が面白い!

「映画監督 山崎貴の世界」展は、松本駅の数百メートル東にある松本市美術館で10月29日まで開催されている。松本市は山崎監督の出身地なので、このような企画が実現したのだろう。

 山崎監督の最新作が、11月3日に公開される東宝の「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」だ。展示室の入り口では、かなり大きなゴジラの立像が迎えてくれる。昔の着ぐるみゴジラではなく、CGで描いた獰猛(どうもう)なゴジラを造形したもので、思わず逃げ出したくなるくらい迫力がある。

 会場入り口へ進むと、「鈴木オート」とペイントされたミゼット(ダイハツの三輪軽自動車)が手前に置いてある。これは「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年)で登場した実物だ。本作は、同年の日本アカデミー賞作品賞、監督賞(ともに最優秀賞)などを受賞した山崎監督の出世作。ミニチュアやロケ撮影とCGを複合させた見事なVFXで、東京オリンピック(1964年)に向かって街並みや景観が急激に変貌していく東京を舞台にしたドラマを描いた。

「ALWAYS 三丁目の夕日」に登場する60年代の三輪軽自動車ミゼット「ALWAYS 三丁目の夕日」に登場する60年代の三輪軽自動車ミゼット Photo by Kenichi Tsuboi