豆腐写真はイメージです Photo:PIXTA

昨今の筋トレブームのなか、新たなジャンルとして人気なのが豆腐でできたプロテインバー「TOFU BAR」だ。生み出したのは豆腐メーカー、アサヒコ社長の池田未央氏だ。入社からわずか5年目となる今年5月に社長に就任したばかりの池田氏に、これまで多数のヒット商品を生み出してきた秘訣を聞いた。(清談社 沼澤典史)

「バカか?」と言われながら
売り上げを3年で20倍に

 昨今の健康志向の高まりにより、サラダチキンなどの高タンパク質商品が人気を博している。筋肉などを作る重要な栄養素であるタンパク質だが、そのタンパク質市場において存在感を増しているのがアサヒコの「TOFU BAR」だ。

 その名の通りスティック状の豆腐である同商品は、サラダチキンのような硬めの食感で、作業の傍らでも片手で食べられる形状だ。2020年の発売以来、売れ続け、今年秋には累計5000万本を突破する勢いだという。

 そんな大ヒット商品のTOFU BARだが、そのプロジェクトを率いたのがアサヒコ社長の池田未央氏。池田氏は2018年に同社へ中途入社する前は、約20年間菓子業界におり、国内・海外メーカーのブランドマネジャーを歴任しながらヒットを生み出してきた。

 池田氏のキャリアのスタートは三星食品で、ここで早くもマスカット味ののど飴(あめ)というヒット商品を飛ばす。その経緯をこう話す。

「当時、のど飴はハーブの含有量や種類が差別化のポイントで、しかも風邪が流行する秋冬にしか新商品を出していませんでした。でも、私は常々『春夏でもエアコンで喉が痛くなるし、そもそもハーブ味よりもおいしいのど飴があればいいなぁ』と感じていたんです。そこで、マスカット味の春夏商品の企画書を書いたんです。業界の常識から全部外れていたので、上司や営業からは『お前、バカか?』と散々言われたんですが、いざ売ってみるとスマッシュヒットになったんです。当時の会社で、のど飴は年間4000万円ほどの売り上げでしたが、私の開発したシリーズが出てから3年後には8億円くらいになりました」

 今ではのど飴は年中店頭に置かれ、さまざまな味のラインナップがそろっているが、その素地をつくったのは池田氏だったのだ。

 続いて、いち早くキシリトールを使用し、冷感が味わえる「キシリクリスタルミントのど飴」を2001年に開発。日本食糧新聞社ヒット大賞を受賞し、同商品は「当時、最も売れているのど飴になった」(池田氏)という。

 その後、池田氏は、キシリクリスタルミントのど飴のブランドマネージャーを務めて3年連続で売り上げを拡大させたり、「クロレッツ」「リカルデント」などの製品開発のプロジェクトリーダーをしたりと、キャンディーやガムのカテゴリーで奮闘。

 そして、新たなフィールドを求めて、2013年にお土産のお菓子などを手掛ける会社へ転職した。