女性の手写真はイメージです Photo:PIXTA

女優の奥菜恵さんが「尋常性白斑」であることを公表しました。患者さんは日本の人口の1%程度といわれ、昔からある病気で「白なまず」とも呼ばれてきました。奥菜さんは公表文章の中で、極度のアレルギー体質であるとも書いていますが、関連はあるのでしょうか?皮膚科専門医の立場から解説します。(千里中央花ふさ皮ふ科院長/医学博士 花房崇明)

「白斑」の症状とは?
加齢の他に日焼けも原因に

 女優の奥菜恵さんが「尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)」であることを公表し、話題となっています。「白斑」とは皮膚の色が白く抜けてしまう病気のことです。発症には肌の色やシミに関わるメラニン色素を作る「メラノサイト」という細胞が関係しています。

 メラノサイトは皮膚を構成する表皮の最も下層(基底層)で色素を産生していますが、白斑はこのメラノサイトが減少または消失すること、あるいはメラニンを作る機能が低下することによって皮膚の色素が薄くなることで起こります。

 白斑にはいろいろな原因があり、尋常性白斑の他にも老人性白斑、炎症後色素脱失(えんしょうごしきそだっしつ)などがあります。

 老人性白斑はメラノサイトの減少・消失、機能低下が加齢によって起こるものです。高齢者、あるいは早くても30代からと、ある程度の年代の方しか発症しません。全身に起こる可能性がありますが、個々の白斑は5mm程度までで、それ以上大きくなったり、融合(つながったり)したりしません。また、一度色が抜けた部分は治ることがありません。

 炎症後色素脱失は、湿疹や日焼け、やけどの後、一時的にメラノサイトが減少する、あるいは働きが低下することで生じます。通常、湿疹やひどい日焼け、やけどの後は炎症後色素沈着といってメラノサイトの機能が亢進(こうしん)し、茶色くシミになることが多いのですが、炎症後色素脱失はその逆になります。

 炎症後色素脱失は基本的に無治療でも数カ月たてば治る病気です。尋常性白斑は境界がはっきりした白斑である一方、炎症後色素脱失の白斑は境界がぼんやりしていることで、見分けがつきます。また、「はたけ」と呼ばれることが多い単純性粃糠疹(ひこうしん)や白色粃糠疹による脱色素斑も、アトピー性皮膚炎や乾燥性湿疹の小児の頬などによく見られます。