対話で分かる地政学#5Photo:Edwin Jimenez/gettyimages

地政学で国際情勢を読み解く一つのポイントが、国家を「陸」の勢力か、「海」の勢力かに分けて考えることだ。歴史的に、陸と海の勢力は対立を繰り返してきた。特集『対話で分かる地政学』(全14回)の#5は、地政学の“第一人者”である奥山真司氏が、地政学の基本その4を分かりやすく解説する。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希、監修/地政学・戦略学者 奥山真司)

「週刊ダイヤモンド」2023年10月21日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。登場人物は実在の専門家を除き、架空の設定です。

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地政学では国家は2つに分類
「ランドパワー」と「シーパワー」

母:大屋 恵(めぐみ)

 動物園の次は、両国国技館(東京都)で相撲観戦ですか。

次男:大屋 陸(りく)

 相撲ってたまにテレビで見るぐらいで、生で見るのは初めて。

祖父:大屋 明(だいや・あきら)

 わしは子供の頃は大鵬(たいほう)が好きじゃったな~。

次男:大屋 陸(りく)

 大鵬?大鵬なんて力士は聞いたことないな。強かったの?

祖父:大屋 明(だいや・あきら)

 なんじゃ、知らんのか。「巨人、大鵬、卵焼き」って言って、子供たちはみんな大好きだったんじゃ。懐かしいの~。

講師:奥山真司(おくやま・まさし)

奥山 さて、次の一番は、“青大海”と“赤大陸”か……、いいですね。

祖父:大屋 明(だいや・あきら)

 おっ、始まった。よし、がっぷり四つじゃな。青大海、押し切れ!

次男:大屋 陸(りく)

 やっぱり、僕と同じ名前の赤大陸でしょ。がんばれ赤大陸!

(赤大陸が寄り切り)

次男:大屋 陸(りく)

 やった~、赤大陸が勝った!なんだか自分が勝ったみたいだ。

講師:奥山真司(おくやま・まさし)

奥山 いい取組でした。白熱した勝負の後になんですが、地政学に戻りましょう。

次男:大屋 陸(りく)

 あれっ、今日は相撲観戦の日じゃなかったの。

講師:奥山真司(おくやま・まさし)

奥山 まさか。今回は地政学の大きなポイントの一つである、陸の勢力「ランドパワー」と海の勢力「シーパワー」という概念を説明します。地政学では、国家を二つに分類します。