対話で分かる地政学#6Photo:Catherine Falls Commercial/gettyimages

地政学を理解するための五つ目のポイントが「リムランド」という概念だ。海と陸の勢力がぶつかり合うこのエリアでは、大規模な紛争がたびたび勃発する。特集『対話で分かる地政学』(全14回)の#6は、地政学の“第一人者”である奥山真司氏が、地政学の基本ポイントその5を分かりやすく解説する。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希、監修/地政学・戦略学者 奥山真司)

「週刊ダイヤモンド」2023年10月21日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。登場人物は実在の専門家を除き、架空の設定です。

>>プロローグはこちら

大規模紛争が起きるリムランド
海と陸の勢力がぶつかり合う

母:大屋 恵(めぐみ)

 なんだかずいぶん長く出掛けていたような気がするわ。帰りも私が運転しますね。

祖父:大屋 明(だいや・あきら)

 久しぶりに相撲を見たんで、まだ興奮が収まらんのう……。あっ、恵さん、止めて。

母:大屋 恵(めぐみ)

 急に大声出して、びっくりするじゃないですか。どうしたんですか。

祖父:大屋 明(だいや・あきら)

 いや、ゲームセンターがあったんで、腕相撲をやっていこうかと。もう家も近いし、ちょっと立ち寄っていいじゃろ。

母:大屋 恵(めぐみ)

 いや、相撲と腕相撲を掛けますか。しかも、今どき、腕相撲のゲームなんてないでしょ……。

講師:奥山真司(おくやま・まさし)

奥山 ゲーセン懐かしいですね。私もちょっと見てみたいな。

次男:大屋 陸(りく)

 みんな、ちょっと待って。ここのゲーセンはちょっと……。

祖父:大屋 明(だいや・あきら)

 んっ、なんだか見慣れぬ若者が多いのう。

次男:大屋 陸(りく)

 そうだよ、ここは僕の中学と隣の中学の間にあるんで、隣の中学の連中が、たくさん来るんだ。ほら、制服が違う子がたくさんいるでしょ。隣の中学の近くにはゲーセンとかファミリーレストランがないから、この辺りに来るんだ。うちの中学と隣の中学は仲が悪くて、昔はしょっちゅうここでけんかがあったみたい。絡まれる前に出ようよ。

講師:奥山真司(おくやま・まさし)

奥山 なるほど。まさにここは紛争が多発するエリアだということですね。

次男:大屋 陸(りく)

 えっ、まさか今からここで講義を始めるの?

講師:奥山真司(おくやま・まさし)

奥山 前回、シーパワーとランドパワーという考え方を説明しましたが、これらは国の勢力の種類を示すものです。

 これに対して、地球上のエリアに関する重要な概念が「ハートランド」と「リムランド」になります。