対話で分かる地政学#1Illustration by Yuuki Nara

地政学を知れば、世界が分かる。特集『対話で分かる地政学』(全14回)の#1では、それぞれの悩みを抱える、架空の3世代家族の前に地政学の“第一人者”である、奥山真司氏が登場。われわれにも影響を及ぼす世界の情勢が分かる道具こそ地政学だと説く。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希、監修/地政学・戦略学者 奧山真司)

「週刊ダイヤモンド」2023年10月21日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。登場人物は実在の専門家を除き、架空の設定です。本記事の物語はフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません。

■登場人物・設定

 

地政学を知れば世界がわかる!「第一人者」が悩める3世代家族の救世主に!?【プロローグ】左=祖父:大屋 明(だいや・あきら)(74歳)印刷会社に勤めていたが、今は年金生活。将来の生活に不安もある。妻に先立たれた後、近所付き合いもなく、会話の相手になってくれる孫をよく擁護する。
中央=母:大屋 恵(めぐみ)(45歳) 単身赴任中の夫がいる。大学卒業後に大手企業に勤めたが、長男の出産を機に退職。長男の大学入学後に近所の中小企業に入社し、経理として働いている。大屋家の財布のひもも握る。
右=次男:大屋 陸(りく)(13歳)
中学受験に失敗し、今は公立中学校に通う。来年に高校受験を控える。勉強は得意でなく、ゲームが大好き。YouTubeなどで妙なインチキ情報に接しがち。

 

「食事中にゲームはダメって言ってるでしょ!というか勉強はしたの?」。またか。夕ご飯を食べ始めようとした陸は、母の恵からの詰問にため息をついた。横に座る祖父の明は、恵のあまりのけんまくに、食べようとしていた好物のコロッケを落としかけた。

「じゃあいいよ、ご飯要らない。ごちそうさまでした」。ゲーム機を食卓に放り投げながら、嫌みたっぷりに陸が言い返すと、母の怒りは沸点に達した。

「うぅ……。そんなことやってると、高校受験も失敗するよ!」。部屋を出ようとしていた陸の足が止まる。恵は「怒りに任せてひどいことを言ってしまった」と謝ろうとしたが、時すでに遅し。