この数字を説明していこう。コロナ禍前の2018-19年は売れておらず、在庫が積み上がる状態だった。そこに2020年4月から緊急事態宣言が発出される。この直後の4・5月は17%以上のマイナスとなる。大量の在庫がある上に、経済を止めることから不安が先立ち、在庫整理のファイヤーセール(投げ売り)に近い状態となった。

 しかし、このファイヤーセールは5月で終了する。6月は-11.8%、7月は-8.8%とすぐ収束に向かう。ステイホームは住み替えニーズを生み、物件検索サイトを閲覧する人が増え、不動産事業者はいつも通りの営業をしていたので、家を家族で見に行くことが唯一のお出掛けイベントとなったのだ。

 2021年にはこの特需は本格化し、売行きは好調に転換、在庫は急減していく。1-3月には-5.5%まで下がり、それ以降はほぼ売出価格のまま満額で即決していき、年平均で-2.7%となった。この傾向は、先ほどの全国旅行支援開始の2022年10月の前まで続く。

 2022年10・11月は-7.7%に悪化し、2023年は平均9.1%まで落ちている。休日の行動パターンの変化からすると、わかりやすい動きだ。

業者が物件を
最も売り切りたい時期とは?

 これで、売出と成約価格の乖離幅が売行きを表すことは理解してもらえたと思う。これをもう少し深掘りすると、賢い買い方が判明する。新築分譲戸建は売り出されるのは着工後になる。そこから竣工するまでの3~4カ月で売り切りたいが、売れ行きが悪いと、建物が竣工してしまう。このため、竣工を機に早く売りたいがために、売出価格を下げたり、売出価格よりも値引きしたりして、売ることが増える。

 これは、新築分譲戸建の事業上の融資期限が短いことに起因している。この事業は土地を買って、建物を建てて、売り切るまでの期間を原則1年以内にやらなければならない。それは融資期間が1年間しかないからだ。このため、竣工はお尻に火が付くタイミングで、値引きが本格化するのだ。

 こうなると、購入戦略が決まってくる。まず、竣工している物件を狙おう。物件検索サイト上に竣工年月は必ず載っている。これが過ぎているものはすでに安くなっていて、値引きも期待しやすいということだ。