視点2:時間を売るか、ノウハウを売るか

 ひとつめの視点と一見似ているようにもみえますが、同じ収入を得るにしても自分の時間を売っているのか、それとも自分のノウハウを売っているのかで収入レベルは大きく変わってきます。

 ウーバーイーツは固定収入ではなくビジネスだとはいっても、結局は自分の空き時間を売るビジネスですから、驚くほどのアップサイド収入が得られるわけではありません。時間を売るという観点では固定給の居酒屋のアルバイトと変わりません。

 一方で、あなたが本業や趣味でノウハウを持っていたとして、それをビジネスにしたら時給換算ではもっと高い収入を得られるかもしれません。

 たとえば何らかのアドバイスをする仕事を副業にした場合、時給ではなく一回の謝礼が1万円といった値付けができるかもしれません。本業で知っていることを雑誌などの記事として寄稿して原稿料をもらうような副業でも、時給換算すれば3000円なんていう場合もありえます。

 タイパの観点でも、本人のモチベーションの観点でも、できれば時間を売るよりもノウハウが売れる副業を見つけた方が長続きするかもしれません。

 ただ注意が必要なことがあります。

 企業が社員の副業を禁止したり懸念したりする場合、もうひとつの理由として、本業との競合という問題があります。経営コンサルタントが副業として経営相談に乗ったり、不動産営業の人が副業として不動産投資のアドバイスをしたりというケースでは、グレーゾーンだと判断されるケースが出てきます。

 たとえ競業ではないと思える場合でも問題が起きることがあります。たとえば大企業相手のコンサルティングをする会社に勤めている人が、友人が始めたベンチャー企業の顧問を副業で行うとします。

 大手のコンサルティング会社がそんな小さな会社の仕事を請けることはないので競業ではないと本人は考えるかもしれません。でも友人が銀行から資金を借りる際に「大手のコンサル社員からアドバイスを受けているので安心してください」といった話をしているかもしれません。こういった会社の評判を含めて、意外とグレーゾーンは広いものなのです。