「40歳で何者にもなれなかった人」こそボンヤリ生きた方が幸せになれるワケ絶望を抱えている氷河期世代。「無駄な時間」は頭の中に「空白」を生み、束の間だけれど人生に必要な幸せを感じさせる(写真はイメージです) Photo:PIXTA
*本記事は本の要約サイト flier(フライヤー)からの転載です。

おすすめポイント

 会社員として働く40代、いわゆる「氷河期世代」に向けたキャリアを考えるための本である。40代を過ぎ、かつて約束されるはずだった会社での役職を手に入れられず、「何者かにさせてもらえなかった」という氷河期世代は絶望を抱えている、というのは健康社会学者の著者の言葉である。

 著者は以前、flierのインタビューの中で、「サラリーマンの生活は必ず終わりを告げ、肩書も無意味になる。そんなときにどう生きていけばいいのか? 科学的なエビデンスに基づいた『幸せになるための方法』を伝えることで、迷いや恐れを抱く方にエールをおくりたい」と語っている。そして、かれらがいずれ死の入り口に立ったとき「人生思い通りにならなかったけど、結構おもしろかった」と思えるように、本書は書かれている。

 40代という時期では、これまで耐え忍んできた会社での地位に奇跡的な変化が起こらないことに気づき、加えて親の介護や自分自身の病気など、自分の努力ではどうにもならないこともたくさん生じる。そんなとき、人生のままならなさにただ絶望するのではなく、自分の行動を具体的に変え、主体的に動き続ければ、必ず変化が訪れると著者は保証する。決して「何者」かになろうとするための主体的行動ではなく、「何者」でもないありのままの自分でも誇らしい人生だと思えるような方向に転換していく。不遇な時代を生きてきた氷河期世代であっても、そうした力があるということを本書は信じさせてくれる。その秘訣を知りたい読者は、ぜひ手に取ってみてほしい。