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有機ELに賭けろ!
【第2回】 2013年3月13日
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城戸淳二

第2回
日本メーカーは間に合わない?
とんでもない、有機ELはまだ「2合目」に過ぎない!

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韓国、台湾、中国──これらの国に苦杯をなめ続けてきた日本の電機メーカー。しかも、今回の有機ELでは韓国勢に先を越されてしまった。もはや万事休すと考えがちだが、有機ELの本当の市場は55インチより先にあり、まだ2合目にすぎず、「勝負は8合目にある!」という。その8合目の市場とはどのようなものなのか。(構成・本丸諒)

「55インチ」は本当の勝負にあらず!

 韓国のサムスンやLGが2013年春以降に55インチテレビを出してくることを考えると、普通の発想からすれば、「いまから日本の電機メーカーが有機ELテレビで追いかけても間に合わない」と思ってしまう。日本はこれまで、先を走っていても後から韓国や台湾に抜かれてきた。それが最初から彼らの後塵を拝しているようでは、とても勝てるはずがない、と。

 たしかに、ソニーやパナソニックの経営トップが、「まず、サムスンに有機ELパネルをつくってもらい、それを組み込んで自社ブランドで売っていくのが得策」といった安易な考えを少しでももっているなら、それこそ日本企業は韓国企業に永久に勝てない。そもそも、それでは「有機ELの本当の市場、今後の大きな市場の姿」が経営トップに全然見えていないことになる。

 「今後、有機ELによってテレビはどうなるのか、単に液晶の延長なのか、まったく違う世界が広がっているのか」――そんな市場の先行きが見えていなければ、有効な対策も打てない。

ディスプレイ革命が起きる!

 実は、有機ELの本当の勝負は、これまでのテレビの延長線上になどない。

 というのは、テレビは55インチや60インチどころではなく、有機ELの登場によって、人類はこれまで手にしたことのない、「とても大きく(150インチ)、しなやか(曲げられる)なディスプレイ」を手に入れることになるからだ。私は、最終的には壁一面をディスプレイにする、あるいは天井をもディスプレイにするような巨大なテレビの時代が訪れる、と思っている。

 確かにブラウン管、液晶、プラズマ、そして現時点の有機ELの場合、テレビと言えばすべて箱形で、しかも重かった。けれども有機ELがテレビに使われはじめると、これまでにない大きな可能性が生まれてくる。2013年現在、韓国のLGやサムスン、パナソニックやソニーが発表している55~60インチの有機ELテレビとはまったく異なる、大きな「ディスプレイ革命」が起きる。テレビのコンセプトそのものを変えてしまうのが、有機ELの本質だからだ。

 私はずっと有機ELの研究をやってきたし、10年以上前の2000年当時に、「有機ELで、60インチテレビをつくる!」と言ったときには世間に「ホラ吹き」として相手にされなかった。しかし、私が座長を務めた経済産業省の国家プロジェクト(2002年〜2006年)では、実際に60インチテレビの要素技術を開発した。

 その頃から私が考えていた「究極の有機ELテレビ」というのは、もちろん、55インチや60インチの「ふつうの箱形テレビ」のイメージではない。そんなものは液晶でもつくれる。私の頭の中にあったのは、「150インチ」サイズだった。

 大きさだけではない。いまでもテレビはどんどん薄くなっているが、有機ELになるとさらに薄くなり、数ミリ幅になる。こうなると、リビングに据え置くというのではなく、壁に掛けることができるほど極薄で、超軽量になる。「150インチのフィルム状で、曲げられるディスプレイ」の出現だ。これまで人類が手にしたことのないディスプレイが、有機ELを使えば可能となるのである。

 一時期、プラズマテレビが「壁掛けテレビ」と謳われた時代があった。それを信じて買った知り合いの技術者が「壁が落ちそうだ」と嘆いているのを聞いたことがあるが、有機ELテレビは正真正銘の壁掛けタイプになる。

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城戸淳二(きど・じゅんじ)

1959年、大阪府東大阪市生まれ。1984年、早稲田大学理工学部応用科学化卒業。1989年、ニューヨークポリテクニック大学大学院博士課程修了(Ph.D)、同年山形大学工学部助手。2002年、同大学教授。2010年より同大学卓越研究教授。この間、2002年~2006年までNEDO「高効率有機デバイスの開発」プロジェクトの研究総括として60インチ有機ELディスプレイの研究開発に取り組む。高分子賞、米国情報ディスプレイ学会フェロー賞など多数の受賞を受ける。著書として、『有機ELのすべて』(日本実業出版社)、『学者になるか、起業家になるか』(PHP)、『大学教授が考えた1年で90を切れるゴルフ上達法!』(角川SSC新書)などがある。ちなみに、誕生日はエジソンと同じ2月11日。


有機ELに賭けろ!

LEDとともに「究極の光源」といわれ、スマートフォンから大型テレビまで、すべてのディスプレイにおいて液晶に代わるとされている有機EL。この有機ELの技術で先行するサムスンやLGを見て、「もう日本の電機メーカーが有機ELテレビで対応しても間に合わないのではないか」と思うかもしれないが、それは大きな誤解だ。有機ELの本当の勝負は、これまでのテレビの延長線上などにはない。現在のテレビのコンセプトを変えてしまうのが有機ELの本質だからだ。有機EL開発はまだ「2合目」に過ぎないのである。「白色有機EL」を生み出し、『有機ELに賭けろ!
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「有機ELに賭けろ!」

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