「本を読む子は頭がいい」「家にたくさん本がある子は頭がいい」は本当?写真はイメージです Photo:PIXTA

「読書好きな子どもは学校の成績もいい」とはよく言われることだが、そもそもなぜ、読書をすることが成績向上につながるのだろうか。また、「本は読んでいないけど、毎日チャットやSNSでスマホの文字をたくさん読んでいる」という人は多いが、スマホでたくさんの文字を読むことは、読書の代替にはならないという。それはなぜなのだろうか?(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

※本記事は『勉強ができる子は何が違うのか』から抜粋・再編集したものです。

子どもの頃によく本を読んでいた人ほど、成長しても本をよく読む人になる

 読書は、ワクワクする疑似体験を与えてくれたり、現実に会えないような人の人生や言動に触れさせてくれたり、さまざまな視点を注入してくれたりする。それだけでなく、学力向上にも大いに役立っている。

 国立青少年教育振興機構による「子どもの読書活動の実態とその影響・効果に関する調査研究」では、中高生および成人にみられる読書活動の影響・効果を調べている。

 中高生についての結果をみると、子どもの頃に本や絵本を読んだ経験が豊かであればあるほど、読書が好きで、1カ月に読む本の冊数が多く、1日の読書時間が長くなっている。ここから、子どもの頃に本をよく読んでいた人ほど、中学生や高校生になってからも本をよく読んでいることがわかる。

 さらには、そうした読書傾向が学力向上に貢献していることも示唆されている。子どもの頃の読書活動が多いほど、意欲・関心が高く、論理的思考能力が高いといった傾向を示すデータが得られているのだ。意欲・関心については、子どもの頃の読書活動が多いほど、「何でも最後までやり遂げたい」「わからないことはそのままにしないで調べたい」「経験したことのないことには、何でもチャレンジしてみたい」というように、意欲や関心を強くもっていることがわかった。論理的思考能力についても、子どもの頃の読書活動が多いほど、「複雑な問題について順序立てて考えるのが得意である」「考えをまとめることが得意である」「物事を正確に考えることに自信がある」というように、論理的思考能力に自信をもっていることがわかったのである。

 このように、読書が学力の基礎となる知的好奇心や意欲、論理的思考能力の発達を後押しすることが実証されている。