同じ内容なのに、伝え方で「イエス」になったり「ノー」になったり。いくつかのコツを知っているだけで誰もが、「イエス」をもらう可能性を上げることができます。今回は著者が、実は若いころ伝え方で悩み、苦悩の日々を過ごしていた。その事実が赤裸々に語られています。

なぜ、伝え方で結果が変わるのか?

佐々木圭一(ささき・けいいち)コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師 上智大学大学院を卒業後、97年博報堂に入社。後に伝説のクリエーター、リー・クロウのもと米国で2年間インターナショナルな仕事に従事。日本人初、米国の広告賞One Show Designでゴールド賞を獲得(Mr.Children)。アジア初、6カ国歌姫プロジェクト(アジエンス)。カンヌ国際クリエイティブアワードでシルバー賞他計3つ獲得、AdFestでゴールド賞2つ獲得、など国内外51のアワードを獲得。郷ひろみ・Chemistryの作詞家としてアルバム・オリコン1位を2度獲得。写真/賀地マコト

 あなたの家の前にいつも自転車が置かれて困っているとします。「自転車を置かないで」と立て札をつくってみたのですが、まったく効果がありませんでした。でもその立て札にあるコトバを変えたら、次の日からキレイに自転車がなくなるコトバがあります。なんでしょう?

「自転車捨て場」

 少々過激ですが、たしかにこう書かれていたら置かないと思いませんか?なぜ効果があるのでしょう?これは、相手の「嫌いなこと回避」からコトバをつくったからです。

「自転車を置かないで」

 という立て札を置けば、自転車がなくなるだろうと思うかもしれません。ですが世の中にどれだけ多くのこの立て札が駅前にあって、皮肉にも立て札が見えないほど自転車が乱立している場所があることか。こういう効くコトバは「ひらめき」だとか、「おりてくる」といったように特別な天才でしかできないように言われがちですが、実は、つくることができます。