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ピカソの秘密
【第7回】 2013年3月22日
著者・コラム紹介バックナンバー
山口揚平 [ブルーマーリンパートナーズ 代表取締役]

お金による市場メカニズムなしに
価値を直接交換する仕組みは長続きするか?
ゲスト:出口治明・ライフネット生命保険社長【後編】

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ライフネット生命保険社長の出口治明さんをゲストに迎えた、『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』著者の山口揚平さんによる対談は、本の内容からさまざまな方向へ広がっていった。対談後半は、出口さんのフィールドである保険について、山口さんが持論を展開するところから始まった。

保険の仕組みを使った社会問題解決法

山口揚平(以下、山口) 僕は、保険の仕組みを使った社会的課題の解決方法を3つ考えていて、ぜひ出口さんに聞いていただきたいと思っていました。

 ひとつ目は「内定保険」というプランです。これは、就職活動中の学生が積み立てをしておいて、内定が取れなかった場合は保険金として海外留学の費用を受け取るという仕組みです。学生にとっては海外留学で見聞を広めるいい機会になりますし、留学の斡旋業者にとっても、大きなメリットがあるのではないでしょうか。

出口治明氏

出口治明(以下、出口) それは損害保険ですね。発想は非常に面白いです。

山口 ふたつ目は、対談前編で出た高齢者の話題に関連します。親が自分の子どもに対し、孫が生まれたらあらかじめ決めておいた金額を教育資金として贈与することをコミットするのです。現実には、孫が生まれたらお金を出す親は多いでしょう。しかし、それが言語化されていないので、子どもは当てにできません。若者が子どもを産まない最大の理由は、先行きが見えない不安です。子どもが産まれたら1000万円が信託される仕組みを最初に作っておけば、赤ちゃんを産みやすくなるのではないでしょうか。

出口 面白いですね。子どもを産み、育てることは、人間社会のサステナビリティーの基本です。

 ただお話を聞くと、保険ではなく、フランスが取り組んでいる「シラク3原則」のような税金の世界の気がしますね。シラク3原則は「子どもを持つことによって新たな経済的負担が生じないようにする」「無料の保育所を完備する」「3年の育児休暇から職場復帰するときは、その3年間ずっと勤務していたものとみなし、休職前のステイタスで職場に戻ることができる」というものです。

 3つ目が最も大事なところで、育休を取る女性が最も嫌がるのは、休んでいる間に人事考課の順位が下がってしまうことです。それまで頑張ってきたことがふいになるから、女性は子どもを産まなくなった。この施策はフランスですでに実施されていて、それほど税金もかかっていません。それでも、10年も経たないうちに出生率が0.5ポイントほど上がりました。こういう事実があるので、子育ては国の責任という面も強いのではないかと思います。

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山口揚平 [ブルーマーリンパートナーズ 代表取締役]

早稲田大学政治経済学部卒。1999年より大手コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わった後、独立・起業した。企業の実態を可視化するサイト「シェアーズ」を運営し、証券会社や個人投資家に情報を提供、2010年に同事業を売却後、12年に買い戻した。現在は、コンサルティングなど複数の事業・会社を運営する傍ら、執筆・講演を行う。専門は貨幣論・情報化社会論。著書に『なぜか日本人が知らなかった新しい株の本』(ランダムハウス講談社)』『企業分析力養成講座(日本実業出版社)』『そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか(アスキー・メディアワークス)』。
ブルーマーリンパートナーズ 公式サイト http://www.bluemarl.in/
Twitterアカウント http://twitter.com/yamaguchiyohei

 


ピカソの秘密

将来の「正解」が見通せない今、誰もが、ぼんやりとした不安を抱えています。その大きな原因は「変化が重なり、先が読めないこと」。なかでも、グローバル化やIT化によって最も変化したもののひとつが、金融、「お金」のあり方です。本連載では、「お金」の変化を整理し、これからの世の中で幸せをつかみ、経済的に生き抜いていくための考え方や行動様式について、先達?ピカソにも倣いながら紹介していきます。

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