日本のシティポップが海外で受け入れられ始めた

──バイラルチャートのランキングには、まさにUGC(ユーザー生成コンテンツ)がたくさん生まれた楽曲がランクインしています。バイラルチャートの指標を教えていただけますか?

バイラルチャートは、SNS上でたくさんシェアされている曲だったり、短期間で一気にニューリスナーが増えた楽曲だったりを指標化しています。TikTokなど特定のSNSと直結しているわけではないのですが、ソーシャルプラットフォーム上で起きている現象を吸い上げてチャートに反映しています。

瑛人だけでなく優里やオレンジスパイニクラブなど、誰でも歌ってみたくなるような温もりのある楽曲はTikTokなどでカバー動画や二次創作動画が作られていって波及した結果、バイラルチャートにランクインしています。

バイラルチャートを日々見ていると、まったく知らなかったアーティストが急に上位に入ってくることも多々あるので、リスナーに教えてもらうことも多いんです。日々データを見ながら、いま何が求められているかに対して常にアンテナを張って、プログラミングやプレイリストの編集をしています。

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──「国内でSpotifyからInstagram Storiesに最もシェアされた楽曲」は、他のチャートとはまた違った楽曲がランクインしています。どういった曲がStoriesにシェアされる傾向にあるのでしょうか。

不思議な結果になっていますよね。高感度と言いますか、流行の最先端にアンテナを張っているような人やインフルエンサーと呼ばれる人に好まれる楽曲なのかなと思いました。Vaundy(編集部注:YouTubeに楽曲を投稿し始め、SNSなどで話題になったマルチアーティスト)は、Spotify上では「不可幸力」が圧倒的に聴かれているんですけど、Storiesにシェアされているのは「東京フラッシュ」というのも面白いところです。

Vaundyの中ではR&B調のかっこいい楽曲ですよね。藤井風とかもそうですけど、少しR&Bっぽい、ソフィスティケートされたサウンドが好まれてシェアされるのかなと思いました。

──「海外で最も再生された国内アーティストの楽曲」のランキングに関して、今年はどのような現象が見られますか。

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LiSAが圧倒的に強いですね。「鬼滅の刃」の世界的なヒット現象が投影されている結果だと思います。映画が公開されてから特に圧倒的な人気を叩き出していて、「鬼滅の刃」ってここまですごいんだなと感じているところです。「炎」は今年の10月にリリースされて以降、日本のみならず香港や台湾でもトップ50に入っています。