写真:「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の最終回が掲載された漫画誌「週刊少年ジャンプ」「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の最終回が掲載された「週刊少年ジャンプ」  Photo:JIJI

人気マンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』でジョークの題材になっている、警察官の仕事にまつわる法律。主人公の警察官「両さん」こと両津勘吉が、それに関する爆笑知識を披露することがギャグのオチとなっている。ただ両津の適当発言には、昨今の「私人逮捕系YouTuber」の問題点について、いろいろ考えさせられるところがある。(イトモス研究所所長 小倉健一)

私人逮捕系YouTuberに
弁護士が多くの懸念を表明

 私人逮捕系YouTuberが話題だ。「パトロール系」とも称されるある特定個人がSNS上で多くの動画を公開している。これらの動画では、盗撮や痴漢、不正転売などの犯罪行為をしたと疑われる人を取り押さえて、私人が逮捕を試みている事例が数多く確認されている。

 場合によっては、公衆の場において特定の人物を不正行為者と勝手に断定し、その「逮捕」を名目にした拘束の様子を映像に収め、これをSNSに掲載する事例もある。

 これらの映像はしばしば公開を目的としており、当事者の顔が判別できるものも少なくない。これらの映像は広く拡散され、投稿者はその閲覧数に応じた収益を得ている。

 確かに、「現行犯」など一定の条件の下に限り、一般市民による逮捕は法的に許容されている。しかし、前述のような映像には私的な制裁の執行や個人のプライバシー侵害といった多くの懸念が伴う問題が指摘されている。

 軽犯罪法に詳しい城南中央法律事務所(東京都大田区)の野澤隆弁護士は、こう懸念を表明する。