単行本なら、「間違いだらけの新NISA・イデコ活用術」(田村正之著、日本経済新聞出版)がいい。良心的な内容で、作りが丁寧なので、参照用にもいい。

 新NISAでの適切な資産運用方法は、四つの原則に集約することができる。急いでまとめると、(1)大きく、(2)早く、(3)シンプルに、(4)長く、である。

新NISA活用術
原則1「大きく」使う

 第1の原則は、新NISAはできるだけ大きく使うといいということだ。

 NISAの本質は「税制上優遇された、有利な投資資金の置き場所」だ。NISA自体は一種の「器」であって、投資対象そのものではない。表現上「NISAに投資する」と言うと正しくない。「NISAで投資する」なら正しい。

 同じ投資対象に投資するなら、NISAの外にある証券口座よりも、NISAの中で投資する方が有利になる。

 では、どれくらい有利なのだろうか。その時々の税制や金利水準などによって有利度合いの期待値が変わるし、現実的には投資の結果次第だが、大まかな「期待値」として、投資の期待リターンを5%と堅めに見積もり、投資益への課税を20%とすると、年率1%くらい有利だと考えてもいいだろう。この差は大きい。