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中国語ができなくても大丈夫 野口悠紀雄の中国経済統計「超」読解法

日本のTPP交渉参加を、中国はどう見ているか?

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第18回】 2013年3月21日
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 2月22日、TPP(環太平洋経済連携協定)に関する日米共同声明が発表された。ここで、「聖域なき関税撤廃は交渉参加の前提ではない」ことが確認された。これを受けて、3月15日、安倍晋三総理大臣はTPPの交渉に参加することを正式に表明した。このニュースは、中国にかなりのショックを与えたようである。

 今回は、日本のTPP交渉参加に対する中国の反応を、中国のメディアを通じて見ることとしよう。

アメリカのアジア政策の
一環としてのTPP

 最初に注意すべきことは、「TPPはアメリカのアジア戦略の一部だ」ということである。

 日本では、「TPPとは貿易自由化協定である」と単純に理解されていることが多い。しかし、これは自由化協定ではなく、「ブロック化協定」である。これは、実質的には日米のFTA(自由貿易協定)であり、その目的は、太平洋経済圏にアメリカ流の経済ルールを確立し、中国の成長をけん制することだ。

 日本は、安全保障の面でアメリカに依存せざるをえないという事情があるので、TPPがアメリカの太平洋戦略である以上、それには参加せざるをえない。これは、最初から課されている制約条件である。つまり、「経済的な利害得失を考慮してTPPに参加するか否かを選択する」というオプションは、日本には最初から与えられていないのだ。

 ところが、それでは国民を納得させることができない。そこで、TPPに経済的な意味付けを与えようとする努力がなされる。

 しかし、純粋に経済的に見れば、TPPにはほとんど意味がないのである。とくに、「日本の輸出を増やす」という観点から見ればそうだ。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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多くの日本企業が中国関連事業を将来の事業計画の中核に据えている。したがって、中国に関する情報の入手はこれからのビジネスマンにとって重要な課題だ。本連載では、中国語ができなくても、中国語で中国の情報を収集するノウハウを提供する。 

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