ライフプラン表を
作ってはいけない状況とは?

 Gさんを見ていて思うのは、多くの人は「ライフプラン表」を誤解しているのではないかということ。ライフプラン表は人気がありますし、確かに将来をイメージしやすくなる良いツールであり、助けられることも多くあると思います。しかし、将来が思い描けていないとか、現状の把握ができていない、足元が固まっていない状況でするべきではありません。

 仮に現状がしっかり把握できていたとしても、ライフプラン表はその時を基にした将来のイメージにすぎません。つまり、「このままいけば」という前提が付きます。不測の事態までいかなくても、少しでも状況や数字が変われば、将来は大きく変わってしまう、そういうものなのです。

 そのため、本来のライフプラン表の使い道は、将来やりたいことができるようになるためのヒントを得るとか、途中に思いがけないことがあっても、老後や何か目標のために備えておこう、不足がないようにしようなどの計画を立てるために使うものなのです。現状の安心材料に使うのではありません。

 こうした理由から、私は初めての家計相談ではライフプラン表を絶対に作りません。ある程度、家計状況や将来に必要なお金が見えてきてから初めて、作ることを検討します。作成しても、「今のままでいけば」であることをお客様にしっかり伝え、将来が心配のない状況であるという結果であっても現状と向き合い、不測の事態に備えることを求めます。

 一年の始まりに、「ライフプラン表を作ってもらおう」と思う人もいるでしょう。お伝えしたいのは、「数字を使って人生の見通しを立てることは重要。でも安心しきることなく、今、人生や老後のためにできることはできるうちにしておけ」ということです。

 良いツールはしっかりと活用し、振り回されないようにしてほしい。それが私の願いです。