被災したとき保険証やお金がないとどうなる?「災害救助法」下での医療費を徹底解説1995年の阪神・淡路大震災以降、日本は何度も大災害に見舞われている (写真はイメージです)Photo:PIXTA

突然の災害で避難した際には、保険証やお金を所持していないことも多い。『医療費の裏ワザと落とし穴』の第273回では、被災者のための医療費の特例措置を、能登半島地震を例に取って解説していく。(フリーライター 早川幸子)

被災者の医療費を
2024年4月末まで無料に

 2024年は、大きな災害とともに幕を開けた。

 元日の夕方、多くの人が家族や親戚、友人たちと、新しい年の始まりを祝っていただろう、その時。大地震が日本列島を襲った。

 1月1日、午後4時10分。石川県の能登半島を震源とするマグニチュード7.6の地震が発生。最大震度7を記録したこの大地震は、北陸地方を中心に家屋の倒壊や道路の寸断、大規模火災、液状化など甚大な被害を引き起こしている。

 1月18日現在で分かっている能登半島地震の人的被害は、重軽傷者が1009人、死者232人(内閣府「令和6年能登半島地震に係る被害状況等について」1月18日9時現在)。亡くなった人のうち、13人は被災後に避難所などで体調を崩した災害関連死の可能性があるという。

 特に被害の大きかった石川県では、2万8000棟以上に住宅被害が出ており、約1万8000人が避難生活を送っている(石川県「令和6年能登半島地震による被害等の状況について/危機管理室」1月18日14時現在)。連日の厳しい冷え込みのなか、体調を崩して、医療を必要としている被災者も多いのではないだろうか。

 こうした甚大な被害状況から、1月11日に、政府は能登半島地震を「激甚災害」と「特定非常災害」に指定。同時に、厚生労働省は、被災者の医療費を2024年4月末まで無料にすることを発表した。

 1995年の阪神・淡路大震災以降、日本は何度も大きな災害に見舞われている。その経験から、災害時は、平常時と異なる医療態勢が取られ、被災者がお金の心配をしないで医療を受けられるようになっている。

 今回は、能登半島地震の被災者のための医療費の特例措置について確認しておきたい。