被災者の医療費無料期間は
復興の状況に応じて延長

 病院や診療所の窓口で、特例措置の対象者であることを伝えれば、対応してもらえる。二次避難などで、被災地を離れていても、免除対象の被災者は、避難地の医療機関でも医療費無料措置が受けられる。

 ところが、過去の災害では、こうした特例措置があることを把握していなかった医療機関で、被災者から医療費の全額(10割)を徴収したというケースもあった。災害に遭って困窮している被災者に経済的な負担をかけないように、病院や診療所で働くスタッフも、特例があることを知っておく必要があるだろう。

 ひとつ気をつけたいのが、病院や診療所でかかったお金のすべてが無料になるわけではないという点だ。無料措置の対象になっているのは、健康保険が適用されているもので、差額ベッド代など保険適用外のものは対象にならない。また、入院時の食事代などは通常通りに請求される。とはいえ、薬局での薬代や介護保険の利用料など、無料措置の対象は幅広い。

 被災者全員の医療費が無料になるわけではないが、被害規模が大きく上記の要件を満たしている場合は医療費の負担を軽減できる。適用対象の人は、医療機関を受診する時に、被災者である旨を申告して、少しでも被災による経済的な負担を抑えてほしい。

 免除期間は、2024年4月末までとなっているが、復興の状況に応じて延長される可能性もある。

 2011年に起きた東日本大震災は、当初の免除期間は2011年5月末までとされていた。だが、被害範囲が広く、被災者の生活再建がなかなか進まなかったため、特例措置は延長が繰り返され、国による一律の支援は2012年2月末まで継続された。

 今回の能登半島地震も、津波や土砂崩れ、地震による延焼火災など、甚大な被害が出ており、復興までには長い時間がかかりそうだ。そのため、医療費の免除期間も延長される可能性が高い。体調の悪い時は、お金のことは心配しないで、医療機関を受診しよう。