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実務家のためのオプション取引入門
【最終回】 2013年4月10日
著者・コラム紹介バックナンバー
佐藤茂 [米系ヘッジファンド オプショントレーダー]

個人投資家のミスにつけ込むことへの批判と
メリルリンチの失敗

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米ヘッジファンド所属の現役オプショントレーダーが、「オプションとは」に始まる基礎理論から、プロトレーダーの視点、そしてVIX先物までを解説する『実務家のためのオプション取引入門』。この連載では本書に収められている14のコラムから5つを紹介する。最終回の今日は、「配当スプレッドとメリルリンチの失敗」だ。

マーケットメイカーに許された特権

 12章ではコールスプレッドの形で配当スプレッドを説明しましたが、実は取引所のマーケットメイカーであればコールスプレッドを執行する必要はありません。

 OCCはマーケットメイカーにのみ、取引日中にひとつのオプションに対してロングポジションとショートポジションをとることを許可しています。

 例えば、配当落ちの前日に100個コールを買い、同じコールを100個売れば、正味のポジションはゼロです。したがって通常であれば行使もできませんし、割り当てられることもありません。
 ところがマーケットメイカーであれば、取引終了後に買った100個を行使して株に換え、そして100個のコールのショートポジションを取るということが可能なのです。

 マーケットメイカーは、これを利用して配当落ちの前日にマーケットメイカー同士で大量のコールの売買を執行して、オープンインタレストの大部分を独占することができます。

 こうして、買った分を行使して株に換え、うまくいけば売った分のいくつかが割り当てられずに残り、配当をかすめ取ることができるというわけです。

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佐藤茂 [米系ヘッジファンド オプショントレーダー]

東京大学理学系研究科修士課程修了。理学修士。米系ヘッジファンドにてオプショントレーダーとなる(現職)。米証券取引所にてマーケットメーカー(常時オプションの買値と売値を提示し、取引の流動性を保証する責任を負った証券取引所指定の自己勘定トレーダー)を務めた経験も。株式、為替、債券、コモディティなどあらゆるオプションをトレードしている。 


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「実務家のためのオプション取引入門」

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