眉間にしわを寄せるビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

人は、未知のものや想定外の災害などに不安を覚えます。それは、これまで経験したことがなく、見通しが立たないからです。困難な状況の中で「もうダメだ…」と思う人と「なんとかしよう」「なんとかなる」と思える人がいます。その違いは何なのでしょうか?

※本稿は、舟木彩乃『「なんとかなる」と思えるレッスン 首尾一貫感覚で心に余裕をつくる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

「有意味感」がベースになる

 私は、前回お伝えした3つの感覚(注)のなかでも「有意味感」が首尾一貫感覚のベースとなる感覚だと思っています。

 例えば人は、強制収容所や戦争を体験したり、東日本大震災のような想定外の大きな災害にあったりすると、予想のつかない未来に大きな不安を覚えます。これは、高い把握可能感をもちにくい状況だからです。

 また、見通しの立たない状況のなかで、自分の存在がちっぽけなものに感じて「なんとかなる」と思えなくなる人も少なくありません。処理可能感が低い状態です。

 しかし、そのような状態でも、目の前の想定外の困難を「意味があるもの」ととらえ有意味感をもつことができれば、前向きに考えることができたりします。そこからモチベーションが高まり、「なんとかしよう」「なんとかなる」と考えることができると、処理可能感につながります。さらに、「何ができるか考えてみよう」という把握可能感につながる考え方や行動ができるようになるのです。

 このように有意味感をベースにして、把握可能感や処理可能感を高めることができる場合があるのです。

【注:3つの感覚】
・把握可能感(だいたいわかった)――自分の置かれている状況や今後の展開をある程度、把握できると思うこと
・処理可能感(なんとかなる)――自分に降りかかるストレスや障害にも対処できると思うこと
・有意味感(どんなことにも意味がある)――自分の人生や自分自身に起こることにはすべて意味があると思うこと

相談にくる人は「処理可能感」が低い

 ただ、これまで私は1万人以上のカウンセリングをしてきましたが、なんらかの悩みを抱えて私たちのような心理職に相談にくる人は、「処理可能感」が低くなっている場合が多いと感じます。

 そのため、少しストレスに弱いタイプであったり、メンタルが少し弱っている状態の人たちは、処理可能感を高めることがいいのではないかと思っています。処理可能感、つまり、つらいことが起きても「自分なら大丈夫。 なんとかなる」「私なら乗り越えられる」と思える感覚です。

 シンプルにいうと、「なんとかなる」と思える力です。

「私なんか無理……」「私にはできない」と否定することなく、「なんとかなる」「私ならなんとかできるでしょう」と自分を信じる力です。この「なんとかなる」と思える力、処理可能感を高めることが、ストレスに弱いタイプの人、ストレスフルな状況でメンタルが弱っている人には大切なのです。