頭にクエスチョンマークを浮かべる人のミニチュア写真はイメージです Photo:PIXTA

現代では、仕事が忙しすぎたり、失敗したりして、心を病んでしまう人は少なくありません。本稿では、公認心理師の舟木彩乃氏が、ストレスにつぶされないための3つの感覚を紹介します。

※本稿は、舟木彩乃『「なんとかなる」と思えるレッスン 首尾一貫感覚で心に余裕をつくる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

首尾一貫感覚は3つの感覚からなる

「首尾一貫感覚」とはどのような感覚でしょうか。

 首尾一貫感覚とは、強いストレスがある状況でも困難を乗り越え、心身の健康を保つことのできる力です。そのため、別名「ストレス対処力」ともいわれているのは、前回もお伝えしたとおりです。

 首尾一貫感覚は、人生で降りかかるストレスやアクシデントから自分を守り、対処できる力であるだけでなく、そうしたストレスやアクシデントさえも、自分の成長や人生の糧に変えることができる力でもあります。

 首尾一貫感覚は、英語で「Sense of Coherence /SOC」といいます。

「Coherence」は、日本語に直訳すると「首尾一貫」です。「首尾一貫」というと少し硬い感じがしますが、「Coherence」には、「首尾一貫」のほかに「統一性」「全体感」という訳もあり、「筋道が通っている」「全体として辻褄が合っている」という意味にとらえていただいてOKです。

 首尾一貫感覚をもう少し詳しくお伝えすると、

「極限のストレスを経験し、過酷な状況に直面したとしても、それを成長の糧にさえするなどして、自分の人生を全体として辻褄が合ったものにできる、つまりいいことや悪いこと、さまざまな出来事があったとしても、全体として腑(ふ)に落ちると思える人生にすることのできる感覚」

 となります。

 そして、この首尾一貫感覚は3つの要素(感覚)からなっています。

 ここでは簡単に次のようにまとめます。

・把握可能感(だいたいわかった)――自分の置かれている状況や今後の展開をある程度、把握できると思うこと
・処理可能感(なんとかなる)――自分に降りかかるストレスや障害にも対処できると思うこと
・有意味感(どんなことにも意味がある)――自分の人生や自分自身に起こることにはすべて意味があると思うこと

 一つひとつ説明していきましょう。