ある企業は入金サイトが長いために資金繰りに苦労していました。

 取引先との交渉ではなかなか埒があきませんでした。そこで、早く入金サイトが回るようなモノの売り方ができないかを模索していきました。

 その企業のビジネスモデルはBtoBでしたが、販売の仕方を変えて、BtoCの領域にも販売を広げていきました。BtoCであればすぐにお金が入ってきます。

 こうして全体的な入金サイトをコントロールする仕組みを作ることができました。

 一方、支払いサイトを延ばす交渉が必要なこともあります。ただし、支払いサイトを延ばしたことによって、利子がついてしまう場合もあります。これは明らかにムダな出費になるので、どちらがメリットがあるかをきちんと検討する必要があります。

 私は、金利や手数料は絶対悪だと考えています。徹底的に省いていくべきでしょう。

 では、カイゼン思考に際して、その会社の資金繰りの状況をどう判断すればよいのでしょう?

 もちろん、成果はシンプルです。

 入ってくるお金が増える、あるいは出ていくお金が減ります。その結果、お金が残っているかどうかです。ただし、単に現在キャッシュが残っているからいいというわけではありません。

 目先のキャッシュフローが改善したからと調子に乗って、残ったキャッシュをどんどん使ってしまうような経営者は要注意です。

 投資する場合は、本当に効果的な投資ができているか、その投資が本当に必要かどうかを説明できるかどうかが問題です。それができなければ、ムダなお金だと判断せざるを得ません。

 とくに、私たちのような第三者が評価する場合、最も重視するのは、その会社が将来性を望める環境に変わったかどうかという点です。

 逆境に強いかどうかも評価ポイントです。

 つまり、カイゼンによってその会社に持続的な成長を見込める基礎体力がついたかどうか。ここがいちばん重要です。