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利益や売上げばかり考える人は、なぜ失敗してしまうのか――目的工学[入門編]
【第5回】 2013年4月3日
著者・コラム紹介バックナンバー
紺野登 [多摩大学大学院教授、KIRO(知識イノベーション研究所)代表],目的工学研究所 [Purpose Engineering Laboratory]

目的には「大目的」と「小目的」の2種類がある。
偉大なリーダーたちが駆使する両者の関係とは?
――本文から(その5)

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「手段の時代」から「目的の時代」へ――はじまった目的工学の取り組みをさまざまな形で紹介していく。『利益や売上げばかり考える人は、なぜ失敗してしまうのかーードラッカー、松下幸之助、稲盛和夫からサンデル、ユヌスまでが説く成功法則』の第1章「利益や売上げは『ビジネスの目的』ではありません」を、順次公開している。

第5回では、本書の大きなポイントの一つである「目的の種類」について紹介する。つまり、目的には「大目的」と「小目的」があり、それらが正しく、うまく組み合わされた時に、大きな求心力が生まれるのである。

大目的、小目的って何だ?

第1回に話を戻しますが、ポーターは、講演の最後で使う「ビジネスの目的」というスライドで、次のようなことを記しています。

●社会のなかで企業が果たすべき役割について、これまでの考え方とやり方を改めなければならない。
●共通価値を志向することで、経済的価値を創造するチャンスは無限大に広がる。
●共通価値について考えることで、次なるイノベーション、生産性の向上、経済成長が促される。
●共通価値によって、まったく新しいマネジメントの考え方が生まれてくる。
●企業は、慈善活動ではなく事業活動を通じて、社会的な課題に大きな影響を及ぼすことができる。
●共通価値にまつわる企業活動を改革することで、企業は目的(パーパス)だけでなく、事業の正当性をあらためて知らしめる機会が得られる。

 一読する限り、共通価値を創造すること、言い換えれば「社会的な価値をもたらし、かつ利益を生み出す事業を創造する」ことが目的(パーパス)であり、ドラッカーが言うところの目的(パーパス)とはちょっと違う感じです。

 実は、どちらも目的(パーパス)なのです。ただし、ポーターがここで言う「共通価値を創造する」ことは「小目的」と呼ぶべきもので、ドラッカーが思い描いた「社会的な目的を実現し、社会、コミュニティ、個人のニーズを満たす」は「大目的」といわれるもので、小目的の上位に位置づけられる目的(パーパス)です(図表1-3「大目的と小目的」を参照)。

 そこで、このように言い換えることができます。

 社会的な目的を実現し、社会、コミュニティ、個人のニーズを満たす(大目的)ために、企業は社会にも自社にも価値をもたらす共通価値を追求して、社会と共存共栄すべきである(小目的) 。

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紺野登 [多摩大学大学院教授、KIRO(知識イノベーション研究所)代表]

多摩大学大学院教授、ならびにKIRO(知識イノベーション研究所)代表。京都工芸繊維大学新世代オフィス研究センター(NEO)特任教授、東京大学i.schoolエグゼクティブ・フェロー。その他大手設計事務所のアドバイザーなどをつとめる。早稲田大学理工学部建築学科卒業。博士(経営情報学)。
組織や社会の知識生態学(ナレッジエコロジー)をテーマに、リーダーシップ教育、組織変革、研究所などのワークプレイス・デザイン、都市開発プロジェクトなどの実務にかかわる。
著書に『ビジネスのためのデザイン思考』(東洋経済新報社)、『知識デザイン企業』(日本経済新聞出版社)など、また野中郁次郎氏(一橋大学名誉教授)との共著に『知力経営』(日本経済新聞社、フィナンシャルタイムズ+ブーズアレンハミルトン グローバルビジネスブック、ベストビジネスブック大賞)、『知識創造の方法論』『知識創造経営のプリンシプル』(東洋経済新報社)、『知識経営のすすめ』(ちくま新書)、『美徳の経営』(NTT出版)がある。

目的工学研究所 [Purpose Engineering Laboratory]

経営やビジネスにおける「目的」の再発見、「目的に基づく経営」(management on purpose)、「目的(群)の経営」(management of purposes)について、オープンに考えるバーチャルな非営利研究機関。
Facebookページ:https://www.facebook.com/PurposeEngineering


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