でも、大きい会場のお笑いイベントであれば、気軽に参加しやすい。テレビで見たことがあるような有名な芸人も出演するということであれば、参加へのハードルはぐっと下がる。

 これは、音楽フェスと音楽ライブの関係に近いような気がする。フジロックやサマソニなどの大規模な音楽フェスは、ディープな音楽好きばかりが足を運ぶわけではない。もっとライトな感覚で、イベントの雰囲気を楽しむために行くという人も多い。

ライト層需要にマッチ

 そもそもお笑いというのは、生で見て楽しむのが本来のあり方だ。テレビやYouTubeなどの映像だけでは伝わり切らない面白さがあるのがお笑いライブの魅力なのだ。

 しかし、お笑いライブにはキャパシティの限界があり、小さめの会場で行われることが多いため、初心者が情報を調べて気軽に足を運ぶことが難しい。大規模なお笑いイベントは、そういうライト層の需要に見事に応えているのではないか。

 大型お笑いイベントは、もともとライブで楽しむものだったお笑いという分野で、新たな楽しみ方を提供することに成功した。音楽フェスに参加するような感覚で、気楽に笑って楽しんで盛り上がれる。これこそがポストコロナ時代にふさわしいエンターテインメントの形なのだ。(お笑い評論家・ラリー遠田)

AERA dot.より転載