本書の第2章のテーマは「人口爆発後の『人口ボーナス』はあるか」で、「40億」という数字がポイントとなります。これは、2100年のサハラ以南アフリカの人口です。アフリカの人口大増加は地球上で最も重要な人口動態の一つであり、地球全体の政治、国際関係、経済、文化、生態系が一変する可能性さえあります。

(目次)人口は未来を語る
『人口は未来を語る』PR資料から一部抜粋 拡大画像表示

 何世紀もの間、アフリカは奴隷の供給地でした。しかし、最新研究では、2100年のアフリカには1950年時点の約20倍もの人々が住むことになるようです。その数、40億人。アフリカ人はヨーロッパ人を6対1で圧倒することになります。異なる民族間の人口バランスがこれほど急激に変わるのは、16世紀にヨーロッパ人によってアメリカ大陸が征服され、先住民の人口が激減した時以来のことになります。

 アフリカでは乳児死亡率が低下し、平均寿命が長くなっています。つまり、人口動態のパターンのうち今のアフリカは100年前に日本がいた位置と同じ位置に立っています。

 一方、第4章のテーマは「出生率が低い社会の共通点」で、シンガポールの「1」を取り上げています。その数字はすなわち、シンガポールの合計特殊出生率です。また、第6章は「最先端の超高齢化社会は世界の未来を映す」がテーマで、取り上げる数字は「79000」。これは日本の100歳以上の高齢者数です。

 私が本で取り上げた数字よりもさらに進んで、2023年9月時点で日本では100歳以上の人が約9万人になっています。ますます急増していますね。日本はアウトライアー(通常の分布から大きくはずれた値)ではありますが、ヨーロッパも東アジアの他の国も北米も、いずれ日本が歩んだ道を進むでしょう。

 100歳以上の人が急増する社会・日本というサンプルは、世界に極めて大きなインパクトをもたらします。ここイギリスでは毎年100万人の移民が流入していますが、それでも経済は極めて低迷し、あちこちで労働力不足が起きています。それは20~30年前に十分な数の子どもが生まれなかったからです。好むと好まざるとにかかわらず、先ほど言った地域や国々も日本と同じ道を歩んでいくでしょう。