路線が違うプライベートブランドは
統合されるのか?

 ツルハHDが発表した業務提携内容の中に、「プライベートブランド商品の共同開発や相互供給の推進」の記述がある。消費者にとってこれも気になるところだ。というのも、2社のPBの特徴はかなり異なるからだ。

 ツルハグループの「くらしリズム」は、一言で言えば価格重視という路線。ナショナルブランドに比べて割安で、種類も幅広い。薬から化粧品、ティッシュやトイレットペーパーなどの日用品、洗剤にラップ、乾電池など多種多様だ。

 対するウエルシアの「からだWelcia」「くらしWelcia」は、機能性を重視した独自商品に力を入れている。ネーミングもユニークで「誰も傷つけたくないスポンジ」(食器洗いスポンジ)、「切ってあるからパッと使えるカット綿」「立派に自立するダブルジッパーバック」など、打ち出したい機能をそのまま商品名化している。パッケージもおしゃれなデザインで、安かろうのPBイメージとは一線を画したいとの意気込みを感じる。

 両社の開発者が向いている方向は45度くらいは違うのではないか。水族館に行ったらアザラシとイルカが同じプールで泳いでいるようなもので、果たして同じエリアに共存できるかは微妙な気がする。

 ドラッグストアは立地ごとに店づくりも異なり、売れ筋も異なる。より安値を打ち出すなら「くらしリズム」を、都市型の店舗なら「からだ・くらしWelcia」を、というすみ分けはあるかもしれないが、消費者は混乱してしまいそうだ。いや、もっとシンプルに、イオンのPBブランド「トップバリュ」が一気に棚を占めるかもしれないが――。