物流の2024年問題への影響

 ポイントやPBの今後など、気になることが多いが、2つのドラッグが統合することでプラス効果が期待できそうなのは、いわゆる「物流の2024年問題(時間外労働の上限規制が適用され、トラックドライバーの労働時間が短くなることで、運びきれない荷物が出るのではないかという懸念)」への対応だ。

 その一つとして、「電子タグ(RFID)」の導入に注目が集まっている。簡単に言うと、商品パッケージやケースに品物の詳細を記録した電子タグを実装することで、積み込み時や納品時の検品作業時間が大幅に短縮できるというもの。店舗でも電子タグを読み取ることで売り上げ管理や棚卸しがラクになったり、防犯にもつながると期待されている。

 ただし、取扱商品の数が異様に多いドラッグストアで、すべての商品に電子タグを貼付するのは難しく、完全導入には超えるべきハードルが多い。しかし、ウエルシアとツルハが統合し巨大なドラッグチェーンが誕生すれば、スケールメリットを生かして物流面の効率化や電子タグの共同開発などが進むかもしれない。

 人手不足が進む業界で、省人化・デジタル化を進めることは待ったなしで、各ドラッグチェーンが別々の規格で独自に進めていくよりはスピーディーに進むのではないか。

 消費者がドラッグストアに期待するイメージは、やはり第一に「安さ」だろう。ウエルシアとツルハが統合することで、その魅力が薄れてしまうとすれば困る。店舗ごとに異なるとはいえ、ツルハには決まった5%割引デーがあるが、ウエルシアは割引というよりはポイント付与に熱心な印象だ。

 ツルハの株主優待は株数に応じたギフト券に加え、常時5%引き(対象外商品あり)となる株主優待カードがあるが、ウエルシアは買い物券の付与(あるいは優待品)のみとなる。統合の結果、割引や株主優待のオトク度合いが下がってしまうと、消費者はがっかりするだろう。

 物価高の嵐をどうにかやり過ごすためにも、消費者は以前に増して「安さ」に敏感になっている。その期待をどうか裏切らない統合であってほしい。