子どもに「ママも昔はかわいかったんだよ」

 家族でテレビを見ているときに、我が子がテレビに出ているアイドルを見て「かわいいよね」と言ったとします。それを受けて、夫がこう発しました。ほんの軽い冗談であり、何ならホメたつもりだったりします。

 ただ、妻にしてみれば「今はかわいくない」と言われていると取れなくもありません。笑い飛ばせば済む話ではありますが、たまたま虫の居所が悪いタイミングに当たると、怒りのスイッチが入ってしまいます。

 悪意なく口にした言葉で妻を不快にさせる事態は、なるべく避けたいところ。そのためには、言葉を惜しまず思っていることを全部伝えることが大切です。

 こういうことをサラッと口に出せる夫は、きっと「今もかわいいけど」ぐらいのことは思っているはず。しかし、気持ちは口に出さなければ伝わりません。大げさでもいいので、「今のほうがかわいいけどね」「いつまでもきれいだけどね」ぐらいのことを言えると、夫婦仲は良好に保てるでしょう。

妻が喜ぶリアクション
「ママがこの子ぐらいのときは、こんなもんじゃなくてもっとかわいかったよ」と言い切る。客観的な事実は、この際どうでもいい。

「ハハハ、いい歳して何が『推し』だよ」

 妻が人気アイドルをを指差して、「最近の推しなの」と言ったことに対して、思わず夫が鼻で笑ってしまいました。テレビの前での他愛ない会話のはずが、一気に険悪な雰囲気になってしまいました。「いい歳して」は、夫が妻に絶対に言ってはいけない言葉のひとつ(夫も妻から言われたくない言葉のひとつでもあります)。

 具体的に何歳以上が「いい歳」なのか、はっきりした定義はありません。それだけにこの言葉は、発する側が相手をどう見ているかを表わしてしまいます。

 夫が妻に対して発する「いい歳して」は、「自分はもうあなたに若さを感じない」という意味。本人だって自分が「それなりにいい歳」であるのは、重々承知の上です。しかし、わざわざ夫に「あなたはもう立派な中年だ」と認定されたくはありません。「年甲斐もなく」も同様です。

 かといって、妻は(多くの場合は)けっして若さの尻尾にしがみつきたいわけではないはず。年齢を重ねたなりのメリットや楽しさも感じているでしょう。それだけになおさら「いい歳して」という言葉に対して、今の年齢の自分を全否定している響きを読み取ってしまいます。

妻が望んでいること
 年齢を引き合いに出さず、「へえー、そうなんだ」とフラットに反応する。「いくつになっても好奇心旺盛だね」といった感心の仕方は、それはそれで微妙。