中国のコーヒーブームで需要増!
日本の「買い負け」が増加

 そのひとつめの要因がコーヒーを楽しむ世界人口の増加です。コーヒーはアジア地域ではまず富裕層が飲みはじめ、それが中間層に広がり、日常的にコーヒーを楽しむ人口が急増し始めています。

 なかでもわかりやすい需要増が中国のコーヒーブームです。

 2023年に中国のコーヒーチェーン店の数がアメリカのコーヒーチェーン店を抜き世界最大になりました。昨年日本に進出した中国のコッティコーヒーはすでに世界7000店舗の巨大コーヒーチェーンに成長しています。

 そしてこれはコーヒーだけの問題ではないのですが、日本が中国などの新興国と調達面で「買い負け」する経済現象が増えてきています。

 購買力の差からいい豆は他国に取られ、日本の消費者はより安価な豆しか手に入らない状況が生まれかねないリスクが高まっています。

 実際、一部の飲食店では仕入れの値上がり対策としておいしいアラビカ種のコーヒー豆から、安価なロブスタ種をブレンドしたコーヒー豆に切り替えるケースが出てきました。

 ここであらためてアラビカ種とロブスタ種の話をしてみたいと思います。スターバックスが創業した当時、アメリカのコーヒーはヨーロッパのコーヒーと比べて美味しくないことが常識でした。

 そのような環境下でスターバックスは「イタリアのコーヒー文化をアメリカに導入する」ことを目指して創業しました。創業者のハワード・シュルツによれば、アメリカンコーヒーが不味い理由がふたつあって、そのどちらも価格を抑えるためにそうなっていました。