つみたて投資枠と成長投資枠はどちらを優先して使うべき?

――つみたて投資枠と成長投資枠の二つの枠があるとのことですが、優先して使うべきなのはどちらの枠ですか?

 投資初心者の場合は、まずはつみたて投資枠からスタートすることをお勧めします。なぜなら、つみたて投資枠で購入できる商品は、金融庁の課す厳しい要件をクリアした長期の積み立て投資に適した投資信託とETFに限定されているため、投資に関する知識の少ない人でも安心して活用することができるからです(図2参照)。

 また、つみたて投資枠の対象商品は、保有中に発生する手数料(信託報酬)にも上限が設けられているため、低コストでの投資が保証されています。その点も投資初心者には魅力といえるでしょう。

【ミドル&シニアのための“超王道”投資術】第2回 横山先生、知識ゼロですが新NISAのこと詳しく教えてください図2 つみたて投資枠と成長投資枠のメリット・デメリット
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新NISAでは、どのような商品に投資するとよいのでしょうか?

――50代や60代から新NISAを始める場合に、お薦め商品などはありますか?

 基本的に、つみたて投資枠対象の商品であれば、長期投資に適したローコストの商品ばかりなので、どの商品を選んでも安心です。その中でも定番といえるのが「全世界株式型投資信託」(以下、全世界型)です。全世界型は、1本で全世界の株式に幅広く分散投資する投資信託で、その分散性の高さから非常に人気があります。

 全世界型にもさまざまな商品がありますが、代表的なものとしては「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)​」が挙げられます。「オルカン」の愛称で人気の商品で、直近期間5年の利回りは年率17.40%と運用実績も非常に優秀。また、eMAXIS Slimシリーズは「業界最低コストを目指し続ける」という方針を掲げ、超低水準の信託報酬を実現しており、ローコストでの運用が可能です。

【ミドル&シニアのための“超王道”投資術】第2回 横山先生、知識ゼロですが新NISAのこと詳しく教えてください一部の銀行・証券会社では取り扱いがない場合があります
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 一方、もう少しリスクを取っても、リターンを狙いたいという人にお薦めなのが、米国株の代表的な指数であるS&P 500に連動している「米国株式型投資信託」です。世界経済の中心である米国の株式市場は長期にわたって右肩上がりで成長を続けており、今後もさらに拡大していくことが予想されています

 米国株式型の最大の魅力は、こうした米国の経済成長の恩恵を享受することができる点で、投資初心者から上級者まであらゆる投資家から人気を集めています。ただし、米国株式型は1国に集中して投資するため、全世界型と比べるとリスクは高くなる傾向にあります。

 代表的なものとしては、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」が挙げられます。信託報酬が0.1%を切る低さで、まだ設定から5年もたっていませんが、直近期間3年の利回りが年率24.8%となっています(24年3月現在)。

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――どちらの商品も魅力的なので迷いますね……。

 全世界型と米国株式型のどちらを選ぶかは、その人の投資スタイル次第ですが、50代や60代から新NISAを始める場合には、よりリスクの低い全世界型を選ぶ方が合理的な選択といえるでしょう。また、複数の金融商品に投資してオリジナルのポートフォリオを作るのも一つの手です。例えば、毎月の積立額が10万円の場合、5万円を全世界型に投資し、残りの5万円は好きな商品を好きな割合で買っていくのもよいでしょう。残りの5万円の一部を米国株式型に割り当てれば、どちらの商品にも投資することができますよ。