シャープPhoto:SANKEI

シャープがテレビ用液晶パネルの生産を終了すると発表した。日本国内からテレビ用の液晶パネル工場が消える。“液晶のシャープ”と名を馳せた時代から一転、経営危機に陥り、ついにかつての稼ぎ頭を手放すことになった。栄枯盛衰の歴史を振り返る。(やさしいビジネススクール学長 中川功一)

「テレビ用液晶パネル」国内生産終了へ

 液晶のシャープ――。

 1998年~2007年に代表取締役社長を務めた町田勝彦氏は、「オンリーワン経営」「日本のものづくりを極める」といった印象的な言葉で組織を鼓舞し、液晶事業を拡大した。

 この結果、シャープは液晶技術で世界に先んじ、ソニーやパナソニックと並ぶ家電のトップブランドとなった。

 そんなシャープは、パナソニックなど国内メーカーがテレビ用液晶パネルから撤退をしていく中でも、唯一、堺に建設した巨大な工場で液晶パネルの生産を続けていた。

 だが、それ以上に莫大な生産能力を持つ海外企業との競争の中で苦戦。直近では、22年度から2期連続で最終赤字に陥っていた。

 そしてついに24年5月、シャープはテレビ用液晶パネルからの生産撤退を決定したのである。

 いったい、シャープはどこで道を間違えたのか。