「5類感染症」になった後も
高額な治療薬や入院費用は支援続行

 通常、「5類感染症」に分類されている疾患は、自治体による入院・隔離の勧告などはなく、かかった医療費に対する公費支援もない。だが、COVID-19の重症化防止薬は、その他の感染症の薬に比べるといまだ高額な水準にある。いきなり公的支援を中止すると、患者にとっては負担感が大きい。

 そのため、急激な負担増を避けるために、COVID-19の医療費支援は段階的に縮小していくことになり、2023年5月8日以降も次のような支援が行われていた。

●「5類感染症」移行後の医療費に対する公的支援

(1)2023年5月8日~9月末
・COVID-19の重症化防止薬については、外来(通院)も入院も全額公費負担
・入院医療費は、高額療養費の自己負担限度額から2万円を減額

2023年5月8日~9月末は、通院時の医療費の中で、COVID-19の重症化防止薬については全額公費負担が続けられた。ただし、初診料や検査費用など、その他の医療費については、通常通りに年齢や所得に応じた自己負担分を支払うことになった。
 
入院時の医療費は、COVID-19の重症化防止薬は全額無料になった。その他の医療費についても高額療養費の自己負担限度額から、原則的に2万円を差し引いた金額が患者負担の上限額とされていた。
 

(2)2023年10月1日~2024年3月末
・COVID-19の重症化防止薬の費用は、年齢や所得に応じて一定の負担を求める
・入院医療費は、高額療養費の自己負担限度額から1万円を減額

2023年10月以降は、他の病気との公平性を保つために、COVID-19の重症化防止薬についても一定の負担を求めることになった。ただし、3割負担の人でも、自己負担するのは重症化防止薬の1割程度にとどまるような公費支援が継続された。1回の治療に対する患者負担の上限額は、1割の人が3000円、2割の人が6000円、3割の人が9000円。この上限を超える部分に公的支援が行われた。

COVID-19の入院期間は、インフルエンザとほぼ同様になってきたが、医療機関に支払われる診療報酬にはコロナ加算があったため、インフルエンザよりも医療費は高くなる傾向にある。そのため、2024年3月までは、高額療養費の自己負担限度額から、原則的に1万円を減額する公的支援が継続された。

 このように、「5類感染症」に移行した後も、COVID-19の医療費への公的支援は続けられ、段階的に縮小されてきた。しかし、2024年3月末で、これらの支援は完全に終了。4月以降は、その他の病気やケガと同じように、年齢や所得に応じた自己負担分を支払うことになった。今後、COVID-19に感染して重症化した場合、どのくらい自己負担することになるのだろうか。