父から息子へのお勧めは、あれこれについて、他人よりも2割増しくらいを目標に自由を拡大してみようとすることだ。働き方、思想、家族関係、時間の使い方、趣味、恋愛、交友関係、など対象は何でもいい。時に他人との軋轢を生むとしても、2割増しくらいなら許してもらえることが多いだろう。

 そして、1つ1つは2割増しに過ぎなくても、複数の「2割増し」を組み合わせると、あたかも掛け算のように自由の範囲が拡がる。すると、面白い人間ができあがる。

 自由の拡大に勇気を持て。

幸福は日常の折々に感じるもの
「自分の嬉しいこと」を言語化せよ

 思うに、幸福は、人生の全体を評価して採点して通算成績に対して感じるようなものではなくて、日常の折々に感じるものだ。「振り返ってみて、幸福だった(不幸だった)」という考え方・感じ方には、前向きな意味がない。「サンクコスト」なのだから当然だな。

 日常の一日一日、一時一時を大切にしよう。幸福感は「その時に感じるもの」だ。

 そして、自分にとって、どのようなことが嬉しくて幸福に感じるのかに気づくといい。できたら、それを言語化しておけ。

 父は、自分を省みて、何か新しい「いいこと」を思いついて、これを人に伝えて感心された時に自分が嬉しいことに気がついた。小さな功名心のようなものに過ぎない。ショボいと思うだろうか?しかし、よく考えてみると、仕事のやり甲斐はほぼこれだけのような気がする。そこで、これをキャッチフレーズ的に言語化してみた。

「私のモットーは、(1)正しくて、(2)できれば面白いことを、(3)たくさんの人に伝えることです」。

 シンプルで気に入っている。

 息子よ。君も、自分が嬉しく感じるのはどのような時なのか、言語化してみよ。上手くできると、ずいぶんスッキリする。