若者でも高齢者でもいい。孤独な人物を見つけたとしよう。彼(彼女)に「場」と「役割」を与えて、仲間内から評価されるような仕組みを作ると、いわゆるマインドコントロールはそう難しくなく可能なのではないか。

 厄介なのは、対象者側でもそうした場を求めている場合があることだ。退職した高齢者についてしばしば問題になるのは、会社という場を失った彼(彼女)に居場所がないことだ。

コントロールされないためには
複数の「場」を意識的に持て

 人は案外簡単にコントロールされるものであることを覚えておこう。もちろん、自分が不本意なコントロールを受けないために、である。

 自分で自分の意思決定を自由に行うことができるようになるためには、複数の場を持つことが重要だ。1つの「学界」、「会社」などに没入し過ぎることは問題だ。

「この世界があれば、会社などなくてもいい」と思えるくらいの場が会社の外にあれば理想的だ。そうした場を得るためには、それなりの努力と時間が必要だ。よく覚えておけ。

 自己承認感には、他人との比較に陥りやすいという、回避の難しい問題がある。なかなか、「そこそこ」では、安心と満足を同時にもたらしてはくれない。対策は、何らかの比較から意図的に「降りる」ことだ。父は、主として不動産の比較から意図的に降りた。

 しかし、他人との比較を心の中から完全に排除することは難しい。

 幸福感には邪魔が入りやすいものなのだ。

「他人と同じ」を意識的に避けて
「2割増しの自由」を複数組み合わせよ

 他人の価値観の影響を受けるからといって、他人に合わせたり、他人の言いなりになったりする必要はない。特に経済的には、「他人と同じ」をむしろ意識的に避けるべきだと考えておくくらいでちょうどいい。