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前回の記事でも説明したように、定年後、同じ会社に再雇用されて働き続ける場合は、労働条件がいったんリセットされます。それまでほとんど転職をしないまま定年を迎える人にとっては雇用契約書はあまり馴染みがないと思いますが、定年後に再雇用で働く場合も、転職する場合も、雇用契約書で労働条件を確認することは非常に大事です。(社会保険労務士 佐佐木由美子)

*本記事は、佐佐木由美子『1日1分読むだけで身につく定年前後の働き方大全100』(自由国民社)を再編集したものです。

最低賃金って知ってる?

 定年後の再雇用で給与が下がるというのはよく耳にする話ですが、会社が絶対に守らなければならないことがあります。それは、最低賃金制度。最低賃金法に基づき、国が賃金の最低限度を定めており、使用者はその最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。

 最低賃金には、都道府県ごとに定められた「地域別最低賃金」と特定の産業を対象に定められた「特定最低賃金」の2種類があります。特定最低賃金は、地域別最低賃金より高い金額水準で、全国で226件の最低賃金が定められています(2023年3月31日時点現在)。両方の最低賃金が同時に適用される場合は、高いほうの最低賃金以上の賃金を支払うことが使用者に義務付けられています。

 地域別最低賃金は、審議会の意見を聞いて毎年10月頃に改定されます。なお、派遣労働者には、派遣元の事業場の所在地にかかわらず、派遣先の最低賃金が適用されます。そのため、派遣会社の使用者と派遣される労働者は、派遣先の事業場に適用される最低賃金を把握しておく必要があります。

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【10秒チェック!】事業所の所在地の最低賃金は必ずチェックしましょう。ちなみに東京都の最低賃金は1113円(2023年10月1日時点)。フルタイムで月160時間働いた場合、給与は17万8080円になります。