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高橋洋一の俗論を撃つ!

バブル再来懸念に答える
その生成と崩壊への対応を検証する

高橋洋一 [嘉悦大学教授]
【第63回】 2013年4月4日
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 最近、アベノミクスがどう経済に効くのかという記事が出始めた。多くの識者があれこれいっているが、昔から主張している人のいうことを聞いたほうが、簡単に理解できる。その代表格は岩田規久男・日銀副総裁だ。10年以上前からインフレ目標をきちんと主張してきた人だ。

アベノミクスを一言で表すと

 アベノミクスは、一言で言えば、人々の「予想」を「デフレ予想」から「インフレ予想」に変えることだ。コミットメントを強くするのはその通りだが、確実に効果を上げる政策をもっていないとコミットメントの意味もなくなる。そうした話が、10年前に既に書かれている。岩田規久男編『まずデフレをとめよ』(日本経済新聞出版社)を是非ご覧いただきたい。

 10年前に書いた本だが、最近のアベノミクスへの関心で復刻された。某編集者が冗談でいっていたが、前に出版したものを印刷するだけで儲かるとは、カネを刷れば景気が良くなるというアベノミクス効果だ、と。

 筆者も1章をさいて、なぜカネを刷るとインフレ予想になるかの理論的基礎を数式込みで書き、具体的な方策である量的緩和にもふれている。これが、デフレ予想をインフレ予想に転換するキモだ。

 筆者は1998年から2001年までプリンストン大学にいた。クルーグマンの冗談を借りれば、プリンストン大学は「インフレ目標陰謀団の本拠地」だ。バーンナンキ、ブラインダー、スベンソン、ウッドフォードらの専門家がいて、2000年からはクルーグマンも来た。

 そうした世界最先端の学者が毎週のようにセミナーを開き、日本の金融政策を議論していて、もちろん筆者も参加した。そうした環境の中で、3年間もいて揉まれたので、2001年に帰国した時には、どうして日本国内では遅れた議論ばかりしているのか、不満に思っていた。筆者の中では、その時から、アベノミクスの中心であるインフレ目標は、研究や議論対象でなく、実行対象だった。

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高橋洋一[嘉悦大学教授]

1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。

 


高橋洋一の俗論を撃つ!

元財務官僚の経済学者・高橋洋一が、世にはびこるもっともらしい「俗論」の過ちをズバリ解説。

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