顔を隠した少女写真はイメージです Photo:PIXTA

毒親とは、あらゆる手段で子どもの人生を支配し、悪影響を与える親のことだ。毒親は子どもの心と人生を破壊することも少なくない。元ソープ嬢で現在は都内で看護師として働くあかねさん(仮名・47歳)もまた、毒親による理不尽な行為のために壮絶な人生を歩むこととなった――。本稿はノンフィクションライターの中村淳彦著『私、毒親に育てられました』(宝島社新書)の一部を抜粋・編集したものです。

物心ついたときから
母親に殴られていた

 元ソープ嬢のあかねさん(仮名・47歳)は北関東出身。上京してからの数年間、親の借金を返済するために池袋のソープランドで働き、現在は都内の病院で看護師をしている。

「出身は●●県。●●って名前を言っただけで気分が悪くなるくらい、いいことはなにもなかったよ。1時間に電車が1本しかない田舎で、田んぼや畑ばかりでたまに車が通ったりして、思い出しただけで気分が悪くなるようなところ。もう15年間くらい実家には帰ってないけど、帰ってないっていうより、嫌でしょうがなくて逃げ出したから」

 実家は●●県の郊外。サラリーマンの父親、専業主婦の母親、弟の4人家族だった。両親はともに北関東生まれで、20代前半に見合い結婚をしている。

「物心がついたときから、母親に虐待されていたのね。最近は虐待、虐待ってニュースでやっていて、先生がちょっと生徒を殴っただけで虐待ってなっているけど、たぶん私がされていたのは本当の虐待。母親はヒステリックとかを超えてちょっとおかしい人で、1日も欠かすことなく殴られていました。覚えている虐待のいちばん昔の記憶が1歳とか2歳というだけで、もっと前からされていたかも」

 あかねさんの子ども時代は、母親に暴力を振るわれている記憶しかない。家にいると、突然母親が怒鳴りだし、気が済むまで殴られる。理由はご飯を残したとか玄関の靴が曲がっていた、ゴミが落ちていた、お父さんが帰ってこないなど、あかねさんが理解できない適当なことだった。

「家にいると何時間かに1度は母親に怒鳴られて殴られるから、本当に怖いですよ。毎日のことだから痛さには慣れるけど、全然感覚は麻痺しちゃうけど、いったいどこで怒鳴りだして殴られるかわからないから怖いんですよ。覚えているかぎり、実家にいる間は全身傷だらけでした」

 弟は両親にかわいがられ、溺愛だったという。北関東で女性を取材すると、ほぼ全員が口にする「長男信仰」である。

「家族で一緒にご飯を食べにいっても、私のはないんですよ。たまにレストランとか連れていかれるけど、3人で美味しそうに食べてて、私は見ているだけ。でも、私も弟も生まれたときからそんな感じだから、変とは思っていなかった。殴られるとか、自分だけ食べさせてもらえないとかは、子どもの頃からだから慣れっこだけど、最後は母親に刺されました」